日本は良質の水が豊富なことで知られる。雨が列島の地質構造のお陰で海へ流れるときにフィルターがかけられ、しかも軟水化する。神戸の水が補給水として海外の船舶に歓迎されるのも、船中に保存しても腐りにくく、美味しいからだ。しかし、最近の豪雨被害を見ていると、その特質が逆に機能するようになるかも知れない。世界的に見ると、水質に問題がある国は多い。飲料水が汚染されるケースも頻発している。この水質が、海外進出する日本企業の一つの解決すべき課題だと知った。食品、医薬品業界に見られるようだが、海外進出した際は潤沢だったはずの水が温暖化などの影響で枯渇しかねなくなり、水の確保が事業継続に必須となり、企業に対策を求める機関投資家も増えているとのことだ。その対策の一つは製造処理過程での水の使用量を削減することだという。日本では湯水の如く使うのがまだできているが、それが出来ない国が増えているのだ。経済協力開発機構(OECD)は50年までの半世紀で世界の水需要は5割以上増え、水不足となる人口が世界の4割に上ると試算する。新興国や途上国の人口増加や経済成長で水使用量が拡大。温暖化が一因の干ばつも増えるとみられている。これにより、水の管理が企業の経営課題として浮上している。渇水による事業中断や水不足による水道料金の値上げ、水質悪化で製造コストの上昇が起きかねない。中東諸国では、海水の淡水化も行われていて、日本の半透膜の技術も使われている。これは水を輸入に依存するシンガポールでも行われているはずだ。
リニア新幹線のトンネルが通過する南アルプス地域で、トンネル掘削によって水脈が切られ、大井川の水量が減るという報道も見た。対応策の有効性についてもいま対立があるそうだ。あらためて周辺の水資源のあり方にも目を向ける必要があるだろう。森が貯留する雨水が川に流れ、それが海産物を育てているのだが、森が吸収できる以上の雨が降る現状が続けば、日本の漁業、農業に深刻な影響が出ることも考えられる。
日本時間で今日の夜、米国で皆既日蝕が中心部を横断することはこの間述べたが、明日にはそれが電力供給にどのような影響を与えたかが分かるだろう。予測できる影響だから問題は起きないとは思えるが。