効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

規制の変化が生んだバイオマス発電

黒霧島」「白霧島」など全国で人気を集める焼酎などを製造、販売する霧島酒造は、九州産のサツマイモが原料だが、その処理量が半端ではない。1日に一升瓶で16万本に上る規模を製造するため、約340トンの南九州産サツマイモを使う。傷や変色があるイモは、焼酎の味わいに雑味が生じる原因になるため選別する。選別ではじかれたイモのくずは毎日、平均して約10トン出るという。従来は製造工程で発生する焼酎かすを畑にまき、肥料として再利用していた。ところが、2003年に廃棄物処理の規制が変わり、この肥料への利用が農地への不法投棄となり出来なくなったそうだ。このような大量の廃棄かすを処理してくれる産廃業者がないために、これをメタン発酵させることにし、それを燃料にした発電をすることになったという。当初ガスはボイラー燃料に使っていたのを、固定価格買取制度の発足後の2014年から発電に使うことに切り替えて、現在3基構成の1,905kWガスエンジン発電機を駆動している。電気は、再エネ電気の固定価格買い取り制度(FIT)の下、九州電力に売る。年間約700万kWhの発電実績があり、1kWh当たり39円(税抜き)で買い取られる。年間売電収入は約2億5000万円に上る。ボイラー用の発酵槽は既築だったから、7〜8年程度での投資回収を見込んでいる。
バイオガス発電からの電力は当分高く買ってくれることになっているから、食品廃棄物の多い事業所では今後設置が増えていくだろう。讃岐うどんの事例がある。ゆで上げから30〜40分経ったうどんが廃棄されているが、それをガス化して25kW規模の発電をしている事例もある。800軒ほどのうどん店からの廃棄うどんを集めてガス化している。食品スーパーなどでも可能なことだろう。この発電方式は、夜には発電しない太陽光発電を補うものともなる。何度も書いているが、地方自治体のゴミ処理でも検討する対象にすべきだろう。