効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

中国のエネルギー消費と温暖化対応

中国はまだ発展途上国として位置づけられているために、地球温暖化対応のために先進国が負っている温暖化ガス排出削減の義務を課されていないのです。そのため、よく中国はその経済成長を確保するために野放図にエネルギーを使うのを許容しているかのような表現が見られますが、本当かなと思っています。中国自体が温暖化の結果として国民に大きな被害を経験しています。温暖化のために水源であるヒマラヤ山脈の厚い氷が溶けていて、下流域では深刻な水不足に陥っているのが良い例です。オリンピックが終わって国民の行動への規制が緩和されざるを得なくなっている今、中国政府は国民が大きな生活被害を受けていることから来る政情不安を避けるために、自らエネルギー使用の効率化に力を入れ、また、自然エネルギーの導入に極めて積極的になっています。
ただ、貧しい辺境を抱えていますので、生活水準の上昇とともにエネルギー消費が増大するのは避けられません。米国は世界の石油需要の4分の一を占めています。米国自体その需要抑制に必死になり始めています。中国も同じことです。中国は2000年に世界の石油需要の6%であったものが、2007年には9%と増加しました。従来世界の石油需要に与える中国の影響は大きくなかったのですが、米国と同様に世界の石油市場動向を左右するようになっています。中国政府はそれを必ずしも歓迎していないようです。
中国の発電用燃料の9割以上が石炭です。ですから、石油需要の上昇はおそらく自動車の普及と、寒冷地の多い中国での暖房用から来るでしょう。また、生活の基本エネルギーとして、統制価格が低く抑えられていることもあります。世界の石油価格の上昇が中国国内にはすぐに反映されていないのです。この規制は次第に緩められるでしょうが、国民の反発をどのように回避するかが課題になります。石炭火力については、これから発電所の効率向上と、排出炭酸ガスをキャッチして地中に固定するなどするクリーンコール技術の開発に力を入れるでしょう。そして、自動車については、バイオ燃料プラグインハイブリッドも含めた電気自動車へシフトするような政府施策がどんどん導入されるのではないかと思います。電力については、家庭用や業務用の電気機器の効率向上に真剣です。最近、冷暖房機器の効率基準を中国のメーカーが対応するのが難しいほど高めて強制させる方向に向かっているそうです。電気空調機は日本の場合ほとんどインバーター方式ですが、中国ではまだ旧式の一定回転駆動のものが主流で、まだ生産も継続されています。それを強制的にインバーター方式でないと対応できないほど高い効率を国の基準にしようとしているのです。
日本は国が強制するのではなく、メーカーの競争で効率化を進めてきました。これは消費者の意識を下敷きにしているとも言えるでしょう。しかし、温暖化ガスの排出抑制に向けてとられる国の施策を見ると、国の体制の違いからくるものかもしれませんが、ここ数年で中国に追い抜かれるのではないかと感じています。