効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■水の貴重さ

湯水の如く使う、という表現があるが、このような言い方をする国や地域が他にあるだろうか。山紫水明の国である日本の真ん中を貫く山脈が絶えず雨水を受け止め浄化して地下水として流してくれているから、水が豊富だし、殆どの水が軟水となっている。だから、外航船が日本の港に入ると、必ずと言っても良いほど、水をタンクに一杯いれるという。その理由は、遠洋航海中に水が腐ることがないし、その水を飲んでも美味しいからだ。世界では水が乏しいところも多く、それが故に手洗いの習慣も定着していないのだろう。4年いたロンドンでも水道水が硬水だったために、洗濯機にも軟水化の薬品を投入する装置が付いていたし、セントラル給湯器にもタンクにマグネシウムの塊が入っていて、軟水化させていた。国連は「持続可能な開発目標(SDGs)」で、すべての人々に安価で安全な水を平等に行き渡らせることをターゲットに据えている。

その水に関わる技術について日本は世界の先端を走っていて、東レ東洋紡などが世界シェアの上位を占める。サウジアラビアの第2の都市ジェッダ市。2020年1月にシュアイバ第4海水淡水化プラントが稼働した。1日あたり40万立方メートルを造水し、既存設備を含めると世界最大規模の淡水化プラントとなった。水処理膜を納入するのが東レ。「RO膜」と呼ぶ直径約0.1ナノメートル(1ナノは10億分の1)の細かい穴の開いた膜を使って海水を淡水化する。ポンプで圧力をかけて水を押し出し、膜を通過する際に塩分や泥など不純物を取り除く仕組みだ。現在はサウジアラビアイラクインドネシアなど世界99カ国に輸出するが、中国でも引き合いが強まり、21年度には100億円程度を投じて広東省で新工場を設ける。中国におけるシェアは現状の3割から5割に引き上げようとしている。

サウジアラビア政府が紅海沿岸に計画する未来都市「NEOM」。ここで東洋紡の技術を使った次世代型水処理プラントの建設が進む。目指すのは、海水から真水を造る過程で出る排水をゼロにし、海洋環境をクリーンに保つ。ポンプで海水に圧力をかけて真水を造ると、副産物として通常の海水の塩分濃度の4%程度を大きく上回る7%の濃度の水が出る。これまで濃縮水は海に流していたが、海中の環境変化によるサンゴ礁など生態系への悪影響が懸念されていた。サウジが注目したのが東洋紡の新技術「BC膜」。RO膜を応用した新しい膜で、直径200マイクロメートルの糸状で中に直径90マイクロメートルの穴が空いている。内外に同じ濃度の塩水を流しつつ、外側から圧力をかけると水だけが膜を透過。濃縮水をより濃い塩水と薄い塩水に分けられる。繰り返すと濃縮水の塩分濃度を20%まで高められ、加熱すれば効率的に塩を取り出せる。東洋紡の膜は塩分濃度が高い中東の海に適しており、湾岸諸国で5割程度のシェアを持つが、革新技術でさらなるシェア拡大を狙っている。

日経産業新聞の報じた記事の要約だが、この水処理市場はこれからますます大きくなるだろう。新型コロナウイルスも綺麗な水への需要を押し上げるはずだ。中国などへの具術移転も行われているようだが、核心部分は外に出さないで世界の水市場で占有率を高めてほしいものだ。

 

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