効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

炭酸ガス利用の太陽熱給湯器

いつも悪者扱いされている炭酸ガスを利用して、太陽エネルギーの変換効率を大幅に上げた業務用太陽熱給湯器を、工業用炭酸ガスなどを生産する昭和炭酸が開発した。2011年を商品化のめどとしている。炭酸ガスは熱を吸収しやすいために地球温暖化の原因の一つともなっているのだが、その特性を利用して、現在使われている家庭用太陽熱給湯器の2倍の熱を取り入れることができるそうだ。
この新しい給湯器は、集熱部、熱交換機、貯湯タンクで構成されている。集熱部は2重のガラス管に炭酸ガスを高圧で封じ込めた直径7〜8ミリメートルの細いステンレス管を通した構造を採用している。資料を調べると、7.382MPaの圧力で液化し、温度が摂氏31.1度以上では、いくら圧縮加圧しても気体状態を維持する特性を持つ。内側のガラス管には赤外線を吸収しやすい黒色樹脂膜を貼り付けて太陽熱を吸収し、それを熱伝導性が高いアルミニウムでステンレス管に伝える。二重のガラス管の内側は真空で断熱効果が高く熱が逃げにくい。炭酸ガスは摂氏31度以上になると気化して管の上部に移動し、そこから熱交換機に移動して水を温める。集熱部は6平方メートルの装置で1日600リットルの熱湯を作ることができ、集熱効率は60〜65%と、従来機の40%程度から大幅に向上している。本体価格は180万円程度の見込み。薄曇りでも作動するそうだ。
吸熱性の高い炭酸ガスを熱交換に利用するには、高圧(おそらく7.5MPa、約74気圧)にして液化する必要があり、取り扱いや安全性確保に難しい課題があったのを解決したということだ。高圧封入した炭酸ガスは安定性の高いものだから、容器と熱交換機部分の耐圧構造が解決できればコストさえあまり高くなければ家庭用でも広く利用できるのではないか。衝撃で容器が損傷して炭酸ガスが漏れても、濃度が高くなれば酸欠になる可能性はあるものの、それさえ回避できるようになっていれば安全なものだと思う。熱を伝える炭酸ガスの循環も液体と気体の圧力差を使っていて循環ポンプが不必要だから、貯湯槽と熱交換機の間を結ぶ水配管にポンプが必要なだけだ。条件次第では貯湯槽と熱交換機部分を一体化することもできるようにも思える。太陽エネルギーを有効に利用できる実に優れた機器ができたものだ。太陽熱利用を促進しようとしている東京都などが開発を支援しないかしら。海外での利用も有望だろう。