効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

畜産事業を具体的に知る

今日は昼前に家を出て、森ノ宮にある大阪府環境情報プラザへ向かった。長く関係しているバイオガスシステム研究会というNPOの、月一回の推進会議に参加するためだ。このNPOの理事長は畜産の糞尿などをメタン化する技術の専門家で、現役を退任してから、日本の畜産業を持続可能なものにしたいという熱意でこの組織を作り、その気持ちを支えようとする関連企業が会員となっている。NPOを継続性のあるものにするのは難しいものだが、ここも例外ではなく、会費以外の収入を生み出すプロジェクトがなかなか成立せず苦労している。しかし、いままでの経過を見ていると、基礎となる技術がしっかりしているし、環境との関わりからも畜産業を循環型にしなければならないことは明らかなので、間もなく芽が出るだろうと思っている。
糞尿のメタン化だけでなく、豆腐製造時に出るおからを乳酸発酵させて餌として牛に食べさせるのを事業化しようとしている。この餌を与えると、酪農事業では頭の痛い乳牛の乳房炎罹患率を引き下げることができ、また、乳質を向上させることができることがほぼ確実であるという今までの知見から、動物を健康にする機能の高い餌を作るプロジェクトだ。これから実際に牛を飼っている酪農家に試用して貰って効果を確かめる段階にある。酪農家が納得して貰わなければ広く使っては貰えないので、大学でのデータを元にしながら、協力を得られる酪農家の飼養している牛に供与して、その餌を食べていない牛との比較データを取ろうとしている。ある程度の時間が必要なのは、生き物を相手にする以上避けられないが、良い結果が早く出てほしいと願っている。
今日の会議で、豚の糞尿をメタン発酵させた後の残渣液を、逆浸透膜を使って浄化する技術について、そのメーカーさんから話を聞いた。この膜は、海水の淡水化などで広く使われている技術だ。発酵後に残った液には肥料として使える成分が沢山入っているが、それをこの膜を使って濃縮して液肥にしたり、堆肥原料にする。そのプロセスの最後に出てくるのは飲んでも差し支えないほどに浄化された水だというのに驚かされた。この水を河川に流しても汚染の心配は全くない。課題は、濃縮した液が肥料や堆肥原料として売れるかどうかだそうだ。養豚場の近辺に野菜農家や果樹栽培農家などが多くあれば、非常に有効な肥料として受け入れて貰える筈だが、いままでは化学肥料に押されてうまく市場が育たなかった。この肥料は有機肥料だから、有機農業が消費者の関心を呼ぶようになって、次第に商品として売れるようにはなっているらしい。ただ、これは地域特性に大きく支配されるために、どこでも順調とは言えないそうだ。