効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■食品残渣をリサイクルした堆肥で作った「地産地消」のお米

食品残渣をどのように処理するかは、残渣を出す方も受けて処理をする方も、円滑な対応が出来なければ、折角の資源リサイクルがうまく進まない。処理の仕方が、出す方、受ける方に何らかのメリットがある方法が構築できれば、リサイクルがうまく進展するのではと思っていた。そのような対応の好事例が報じられている。

コープみらい(埼玉県さいたま市)は、店舗の食品残渣をリサイクルした堆肥で栽培した2018年産の地産地消米を1月26日から埼玉県内の22店舗で販売を開始すると発表している。商品名は「無洗米 彩のかがやきエコ循環米(2018年産)」(1袋5kg)、店舗での販売価格(税別)は1,780円。同商品は、埼玉県内のコープみらいの店舗などから出る野菜などの食品残渣を、彩の国資源循環工場(埼玉県大里郡寄居町)で堆肥にリサイクルし、その堆肥を使用して栽培した米だ。コープみらいでは、この商品を地産地消の米として、2009年から埼玉県内のコープみらいの店舗で販売している。コープみらいは、地産地消米の取り組みにより、SDGs「持続可能な開発目標」の目標のひとつ「つくる責任、つかう責任」の持続可能な生産消費形態を確保するとしている。

このような取り組みは、永続性のある仕組み作りが要となる。堆肥作りもその流通も、事業性がなければならないし、堆肥を利用する農家からすると、妥当な価格でなければ農業の永続性が維持できない。全体の流れに関わる事業者や人が、価値あるものとして受け渡しができなければ流れが滞る。

堆肥にしての米作りだけでなく、食品残渣で畜産向けの飼料を作り、飼育することも有効な方法だ。小田急グループではグループの一部の飲食店やホテル、スーパーマーケットから排出された食品廃棄物を日本フードエコロジーセンター(神奈川県相模原市)に卸して飼料化し、契約養豚農家に販売しているということだ。小田急商事(神奈川県川崎市)では、スーパーマーケット「OdakyuOX」において、この飼料を使用した契約養豚農家より出荷された豚肉を「優とん」ブランドで展開している。

このような事例を見ると簡単にできるように見えるが、これまで実際に見てきた事例では、そのリサイクル過程で流れがうまくいかないケースも少なくない。考え方は優れているが、結果を出すまでには、それにかかわる当事者の協力と事業性を出す方策の一つとして、食品残渣を利用した製品をブランド化するのに成功するかどうかが重要なことも多い。

食品残渣にリサイクルが円滑に行けば、自治体のゴミ処理負荷を大きく引き下げる効果もあり、地域住民が税金として負担する処理コストも下がることになる。