効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

ナガイモ発電所

ゆうき青森農業協同組合(JAゆうき青森)は、再生可能エネルギー発電のイーパワー、日立キャピタルなどと、日本では珍しいナガイモ残渣を原料とするバイオガス発電を始めたという報道に興味を持った。同農協はこれまで残渣を年間約2000万円かけて廃棄してきたが、発電に利用することで残渣処理費用を低減する。ナガイモは出荷の段階で選別するそうで、その時に日量4トンもの残渣が出るということだ。ナガイモは年間を通じて採取できる作物だろうか。季節によって大きな変動が出るようでは、それをガス化して発電するのには適していない。同農協では設備投資額が大きくなることから発電への利用を諦めていたようだ。
しかし、豊橋技術科学大学などが開発し、愛知県豊橋市の養豚農家で実用化し始めた小規模でも採算が合うシステムを基本に、イーパワーなどが寒冷地仕様に初設計し、総事業費1億円で実現したということだ。従来のバイオガス発電設備はガスを発生させる発酵槽が大きく発電能力も比較的大きい大規模農場や下水処理施設向けが中心だったため、小規模の採算ベースに載るバイオガス発電設備をつくるのは難しかったと報じられているが、小規模でも収益性の出せる発電システムができたとすると、その応用範囲は広いだろう。発電能力は30kWで、電力は全量東北電力に販売する。固定価格買取制度によって高く売る(39円/kWh)ことが貢献していることは確かだ。
発電の際に発生する熱を、隣地に建設するビニールハウスで有効活用して、冬季の農業を可能とする仕組みづくりに取り組むということだから、小規模コージェネレーションとなる。熱需要があるから事業性が出たのかも知れない。これもナガイモ残渣の発生量や発電量と、熱を必要とするビニールハウスの熱需要がかなり一致する必要がある。あるいは、熱需要が常に大きくて、その一部をこのシステムから熱を供給するとすれば、それまで使っていた燃料を減らす効果を出しやすい。冬期だけ熱を利用するだけで採算性は上がるのだろうか。
日立キャピタルが出資したということは、事業性について綿密な計画があったからだろう。食品廃棄物の利用についても、この小規模システムが応用できるのかどうかをもう少し調べて見よう。