効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

畜産糞尿からのバイオガス発電

北海道では酪農が盛んである。ということは、牛などの生き物相手だから、その排泄物を何らかの形で処理しなければならない。ヨーロッパなどでは、糞尿をメタン発酵させてエンジンへ供給して発電するのが広く行われている。北海道へもこのシステムの導入が試みられたが、ドイツ製のエンジンを使って実証試験が政府資金で行われたものの、事業性を出すことが難しいことが分かって普及しなかった。10年ほど前に北海道で実証の場所を見学に行ったことがあるが、ガス化が行われた後に出る液肥の利用もなかなかうまく行かなかったようだった。従来の余剰電力買い取り制度ではバイオガス発電の単価は1キロワット時当たり実質7〜8円で、採算が合わなかったのだ。
これが、畜産糞尿を嫌気性発酵させて得られるメタンで発電した電力が、昨年導入された固定価格買取制度で、1キロワット時当たり40円95銭の売電収入が得られることになったために事業として成立するようになった。エンジンによるコージェネ(熱電併給)システムにより産生する熱エネルギーは発酵槽の加温、牛舎への給湯、暖房などに活用される。メタンガス発生後に残る消化液は品質のよい液肥として牧草地にまき、環境に優しい循環型農業の実現につなげるとされるが、牧草地がこれを十分に受け入れるだけのものが、発電設備の近くになければ、輸送コストも負担となる可能性がある。このシステムを事業化した企業は、すでに道内で7基を受注しているということだから、売電収入のアップが大きく貢献したことは確かだろう。