効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

自家発電

東京電力福島原発の事故で、供給力が不足する事態に直面して、経済産業省は自家発電設備を持つ企業に稼動を上げて東電に電力を供給するよう頼んだようだ。自家発を稼動しても能力が小さければその事業所の負荷が低くなるだけであるが、もしフル運転すれば電力が余るとすれば、系統に電力を逆流させねばならない。これはこれまで原則的には東電だけでなくどこの電力会社も拒否してきた。しかし、六本木にある森ビルが運営する地域エネルギー供給会社からは東電に電力を供給していると報じられていた。その時に思ったのは、予め逆流して供給する電力価格を決めておかないと、受け入れられたとしてもせいぜい売買電力価格が同じ形でしか成立しない。それはこの緊急協力という事情を考えればおかしい。どうしているのだろうか。
一方、自家発から電力を供給しようと準備した企業に、東電から声がかからないケースが続出しているとも報じられている。明らかに東電は売電契約を拡大したくないのだろう。それを裏付けるのは、今日の日経に出ている、産業界が電力事業の発電と送電を分離させることを検討しているが、電力10社は現状を維持したいという記事だ。発送電分離が実現すれば大型の発電設備を持つ企業は発電事業を拡大する環境が整うということだが、これまで電力会社の支配力が強すぎて大半の企業は事業所内での自家消費にとどまっている現状を改革するには大きな政治力とユーザーの主張が必要だろう。さらには、発電と送電を分離した後も、送電を全国レベルで自由に行えるようにしなければ実効は出てこない。それには東西で周波数が違うことも課題だが、戦前まであったような日本発送電のような独立組織を設立できるかどうかの問題も大きい。これから自然エネルギーの導入量を増やそうとするのだから、この際、徹底的な議論をする必要があるだろう。自然エネルギー供給事業が全国に成立して、それを遠隔地にも売れるようにしなければならないからだ。