効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■東電の再エネ発電対応

 6月初めに出た報道記事だが、「東京電力ホールディングスが再生可能エネルギーなどの新規発電を対象に、千葉県内で出力制御を検討している。1日から発電事業者に検討に着手すると通知するが、事業者には収益低下につながるとの懸念が広がる。原因となっている送電線の空き容量不足(きょうのことば)は全国であり、同じ事態が起きかねない。政府が再生エネを主力電源にする目標を掲げるなか、出力制御を前提とした東電の姿勢に批判の声も出ている。・・・・千葉県では太陽光発電の計画が相次ぐ。東電によると、千葉から東京などに電気を送る送電線を使いたいとの再生エネ事業者からの申し込みは約1.4万件あり、総容量は1030万キロワットある。送電線の容量はすでにいっぱい。新規申し込み分を全部受けるには、発電事業者が最大1300億円を負担し送電線を増強する必要があるという。」

 これを知っていたから、今日「千葉県には東電系の大型の火力発電所が集中しているが、点検などで稼働していないケースもある。その際に生じる送電線の空きを開放する。東電はこの取り組みで新たに500万キロワット程度の電力を送電できるとの試算を国に提出した。」とする報道を見て、東電も再エネ導入拡大を渋る姿勢を変更したのだろうと感じた。これは東電だけでなく、他の大手電力事業者にも影響を与えることになる。東電は、太陽光発電事業者などに発電量が多くなる昼間などに出力を抑えてもらうことが条件になるとしているが、これは妥当な条件だろう。前の記事で、送電線の容量はすでにいっぱい、という、いわば拒絶姿勢がなくなったのは、日本全体の再エネ市場の拡大にさおさす姿勢からの方向転換をしたのだと理解している。

 再エネ導入を予測できない時代にできた送電網に、太陽光、風力発電が導入される場合、それぞれに抑制制御ができるような系統運用をするべきだったのだが、それをしなかった、というよりも、やりにくかった。従来型の大型発電所からの送電を前提にし、その発電所の停止は殆どなく、送電が常に行われるという前提で系統運用がなされてきたのだが、東電の今回の方針変更によって、系統制御の内容も変化せざる得ないということが旧電力事業者の間で合意が出来たのだと思っている。

 これには、原子力発電所の安全対策費が電力会社の想定を3倍上回っているという原発事業の切迫状況も影響している可能性もある。