効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

動きの早さに少し驚き

総務省が、電力を消費する地域で発電も手がける「地産地消」を推進すると報じられた。地域の企業や地方自治体による発送電や需給調整の事業モデルを構築するため、来年度から実証実験を実施する検討に入ったそうだが、このような動きにはもう少し時間がかかるかと思っていたので驚きがある。しかし、いま検討されている発送電分離などの電力事業改革が進展しなければ、この地産地消を実効あるものにするのは難しい。それを考えるといま実証試験をしようとするのは妥当な方向かもしれない。
具体的な内容は、地元企業と自治体が共同で取り組む事業モデルを想定し、太陽光や地熱、ガス火力などで発電し、市役所や学校、事業所といった域内の施設に供給するそうだから、ここには高度な通信網の設定と制御が行われねばならず、経済産業省ではなく総務省がイニシアティブをとるのも頷ける。また、都道府県を包括的に管理するのは総務省だということも意味もあるだろう。総務省は来年度、全国で5つほどの自治体をモデル地区に選び収益性も含めた実証実験を始める。事業計画の作成費や調査費、設備の整備費として1カ所あたり数千万〜数億円の拠出を検討する。必要額は2014、15年度予算で要求する。
再生可能エネルギーだけでなく、燃料電池コージェネレーションのようなエネルギー効率の高い設備を設置すれば、送電網の負担も軽くなるし送電損失も防げる。そしてこの地域を系統から分離できるような制御をすれば、災害時などの停電も防げる。というのは理屈としてはそうだが、そのような制御方式はまだ確立されていない。地域毎に異なる制御方式を組み上げるのは無駄だから、制御の基本構造の標準化が必要となる。15年度までモデル地区で収益性などを検証し、16年度から全国の自治体に導入を促す方針だというから本気度は高い。
これに呼応したのか、山梨県は9日、2050年をめどに県内で必要な電力をクリーンエネルギーで100%賄う「エネルギーの地産地消」戦略を発表している。太陽光発電を戸建て住宅11万6千戸に設置し、普及率50%とする。メガソーラー(大規模太陽光発電所)を誘致するほか、工場など事業所の屋根、敷地に太陽光パネルの設置を進めるということだ。