経済産業省は早ければ来年中にも、自家用発電設備を保有する企業が電力会社の供給エリアをまたいで自社やグループ会社に余剰電力を融通できるようにすると報じられている。この実現のためには電気事業法を手直ししないといけないので時間が必要なのだ。現在は電力会社が自主的に、自社供給区域内の同一企業間に限って送電する「自己託送サービス」を提供しているが、それに対応するためには電力会社の定めるルールをクリアーする必要があって、簡単にできる状況にはなかった。今回の新しいルールは、自家発の有効活用を促進し、企業グループ全体のエネルギー効率利用や、電力系統全体の需給逼迫緩和効果を出すためのものだ。自己託送の場合にも供給エリアをまたぐ振替供給を義務付けるほか、供給者と供給先に一定の資本関係があるなどの「密接関係性」があれば、電圧階級や契約電力を問わず自己託送を認める。託送料金も共通化する。
ただ、この制度の拡大には、企業の持つ自家発の発電コストも関係するだろうし、実際に電力をエリアをまたいで供給するのだとすれば、電力会社間の連系容量の制約も出るだろう。この制度への対応がやりやすくなれば、電力の需給調整に分散型発電が機能する割合が高くなって、電力会社の系統指令と密な連携をしなくてはならないだろう。電力供給事業の自由化の一つだと言えるかもしれない。