効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

蓄電池となる燃料電池

今朝米国から届いた情報の中に、水を電気分解する効率を高める触媒をMITが開発したというものがあった。直流を使って水を水素と酸素に分解する時の電極に触媒を用いて反応を促進する。これまで水素電極用には効率の高いものができていたが、酸素極に使う触媒に良いものがなかったのだそうだ。それがボストンのMITで、これまでよりも200倍もの効率で酸素を発生させ、しかも高価な白金を使わないために安価でできる触媒が開発されたのだそうだ。しかも、水の電気分解の時に使われる毒性のある物質、多分硫酸だと思うが、の使用が必要なくなる可能性もあるという。
もしこの水電解技術が実用化されれば、太陽光発電で発電した電力の内、自家消費しても余った電力で水を電気分解して水素ガスと酸素ガスにして、ボンベにそれぞれ貯蔵しておく。夜になると、そのガスを燃料電池に供給して発電させるというのだ。その時には電気化学反応で熱が発生するために、それを給湯や暖房に使えることになるという筋書きになっている。また、太陽熱を使った給湯暖房もできるから、この電気分解装置が低価格で作れるとすれば、そして、燃料電池の価格がどんと下がれば、この物語は実現するだろう。
この方式で使われる燃料電池のコストは大きく下がる可能性はある。普通は天然ガスやLPGを分解して水素を得る装置が必要だ。さらに天然ガスなどの燃料に入っている不純物を除去する装置も付いている。分解したガスの中にある不純物も除去しなければならない。これらが全て必要ないのだから、価格は半分には下がるだろう。そして、直流のまま使うとすれば、現在の燃料電池に付いているインバーター(パワーコンディショナー)も不必要となる。
おそらく蓄電池と価格競争することになる。水の電気分解が安価にかつ効率的にできるのであれば、風力発電の出力変動を吸収して安定化させるだけでなく、必要なときに送電することもできる。本当にどこまで相対的なコスト競争力が高まるかを判定するには、もう少し時間が必要だろう。太陽電池の価格もこれから大幅に下がると米国では報じられている。面白い時代が案外早くやってくるのだろうか。