ガラスといえば堅くて壊れやすい、衝撃に弱いという印象が一般的だろう。しかし、ここにも新しい技術が開発されつつある。ガラス板の表面は樹脂でできたものよりも平滑度が高い。その特性があるから太陽電池パネルの基板となったり、電子回路の基板として使われている。その場合、できるだけ大きなガラスパネルを作るのだが、重さを可能な限り低くするために薄く薄く作る。しかし、これまでは幾ら薄くても一枚の板として素材が提供されていた。このガラス板の上にいろいろなものを載せるとしても、一枚ごとに加工しなければならなかった。ところが、日本電気硝子が、100〜50マイクロメートルのガラス膜をロールに巻き取れるようにする技術を開発したと報道されている。もし巻き取り工程が自動化できれば、そして、ロールに巻いてある薄いガラス膜を引き出して、その上に半導体素材を薄く貼り付けることができれば、性能の高い素子を作ることができる。
展示会でこのロールされたガラス膜を展示したら人だかりがしたと報じられている。ガラスの常識を打ち破り、ガラスの新しいアプリケーションが生まれると予想されるからだ。ただ他のソースから聞いたところでは、ガラス膜を作って自動的にロールに巻き取るところまではまだ行っていないと聞いている。しかし、開発のターゲットはここにあるのは当然で、技術の完成は時間の問題だろう。岩手大学の馬場教授がこれに目をつけたようで、世界最薄クラスのガラス基板に載せた薄膜リチウムイオン電池が開発される可能性もある。記事によれば、ガラス膜の厚さを毎年5割削減するのが現在の目標だという。ある薄さの限界を超えると、また違った特性が発見される可能性もある。技術開発の面白さというべきか。