効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

カーボンナノチューブの驚異的コストダウン

今日は昼から、温暖化防止ネットワーク関西とMAKE the RULEキャンペーン実行委員会が共催のセミナーに参加するために大阪まででかけた。テーマはCOP17(ダーバン)に向けて−COP16の成果と課題、後退する日本の温暖化対策−、というもので、講師は龍谷大学の高村ゆかり教授と、気候ネットワークの平田仁子東京所長。カンクンで行われたCOP16の評価が自分ではできなかったので参加したのだが、定まった評価をするのは難しいということが分かったのと、日本がこれからどう対応するかも見えないということを理解して帰ってきた。
帰宅して日経の夕刊を見ると、一面にナノチューブ、製造コスト1000分の一、という標題が目に飛び込んできた。この素材はもともと日本で1991年に量産できるものとして開発されたものだ。半導体、軽量の構造体向けなど広い応用分野が想定されるが、その製造コストが利用拡大を妨げていた。それが、産総研日本ゼオンが、高性能な単層型を、従来なら1グラム数十万円したものを、1000分の一以下の1グラム数百円を作れる技術を開発したという。エレクトロニクスや自動車分野での用途開拓に弾みがつくと記事が述べているが、この価格であれば、温暖化対応に大きく貢献するエネルギー効率化技術、たとえば、蓄電池や燃料電池価格の大幅引き下げなどが実現するだろう。
単層型は導電性や透明性に優れ、使い勝手がよい。当面、年産100キログラム程度を計画。安定して連続生産できるよう技術を磨き、最終的に年産10トン程度を目標とするようだ。現在、世界における単層型の生産能力は多く見積もっても年7トン程度だというから、金をアルミ価格で作るような感じではないか。幅50センチメートルの安価なステンレス製基板を原料ガスが入った加熱炉に入れる。触媒を工夫したことで、純度99%以上のナノチューブを芝生のように垂直に生やすことができるようになった。基板をベルトコンベヤーに載せて自動化し連続生産する。従来法だと10分間で数ミリグラムしかできなかったが、数グラムの生産が可能というから驚異的だ。
日本の技術開発力はまだ世界の先頭を走っているなと感じさせてくれた。日本の環境対応政策はもたもたしているが、環境対応技術で世界に貢献できる。