効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

エネルギー効率化を再度考える

この間のE Source年次フォーラムの最終日に、ロッキーマウンテン研究所を主宰しているエイモリー・ロビンスがエネルギー効率の改善の意味について講演をした。彼の講演を聴きながら考えたことを述べてみたい。
照明にしろ、モーターなどの動力源、暖冷房にしろ、その組み合わせによって高効率化の相乗効果を上げることのできる分野はきわめて大きい。これは日本で一般的に言われている省エネルギーという概念とは異なるものだと思う。たとえば、ビルの断熱効果を高めれば、空調の効果が大きく上がる。そうすると、冷媒を運ぶパイプのポンプを小さくしても良いし、ポンプを回すモーターを小さいものにすることができるし、その取替えのときに高効率のモーターに取り替えれば、エネルギー効率はさらに高まることになる。クールビズ的対症療法とは異なるものだ。
高効率ビルになって効率が従来より20%ポイント上がったとする。とすると、本来100必要だった空調用電力が80になる。20相当の電気の炭酸ガス排出量が削減できたように見える。しかしそうではない。その場所で本来消費されていたはずの商用電力が20だけ減ったことになるのだから、発電・送電・配電の損失を60%とすると、発電所では50相当の燃料消費を削減できたことになる。(20÷0.4=50) したがって、ビルのエネルギー効率を20%上げることが、遠方の発電所では50相当の燃料を削減でき、それからの炭酸ガスの排出を抑制することになる。これを太陽電池に置き換えて考えると、6kWの太陽光発電設備があるとすれば、6kW÷0.4=15kWを発電する燃料を減らしたのと同じことだと言える。
この遡りをよく念頭においておかないと、高効率化や太陽エネルギー、風力エネルギーといった分散型エネルギーの環境価値認識を誤ることになる。