効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

港湾用クレーンに回生装置

エネルギーの効率的利用という観点から非常に興味あるものが開発された。三井E&Sマシナリー(旧・三井造船)とエクセルギー・パワー・システムズ(山梨県南アルプス市)が10月23日に発表しているが、コンテナ荷役用クレーンの巻下時に発生する回生電力を超急速充電電池に回収し巻上時に供給することで、電力使用量の72%削減と受電平滑化に伴う契約電力の54%削減することに成功したようだ。これは名古屋港で実施した国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDO)の2017年度助成事業「企業間連携スタートアップに対する事業化支援」にかかわる実証実験により確認されたもので、コンテナーヤード内においてコンテナを段積みするために使用されるタイヤ式門型コンテナクレーン)に、4.8kWhの超急速充電電池を搭載し、重量40.6トンの40フィートの試験コンテナを巻上下させている。RTGクレーンは、三井E&Sマシナリー製の「TRANSTAINERR」、超急速充電地はエクセルギー・パワー・システムズ製の「エクセルギー電池」を使用している。
実証では、主巻モーターを巻下げ時に発電機として作動させることにより、コンテナ巻下時の運動エネルギーを電気エネルギーに変換(回生電力)し、その回生電力をエクセルギー電池に蓄電してコンテナの巻上時に放電、主巻モーターへの電力供給を行った。電車がブレーキをかけるときに、電動モーターを発電機に使って発電させ、走行エネルギーを電気エネルギーに変換することで走行速度を落とすのと同じ理屈だ。その結果、回生電力とこの電池を併用したRTGクレーンの電力使用量は、回生電力を使用しない場合と比べ72%削減できた。この結果は、従来の30kWhリチウムイオン電池を利用したシステムの削減量29%と比較しても大きな効果であったようだ。また、電力回生と急速放電により受電量の平滑化を図ることができ、回生電力利用なしの場合と比較して契約電力を54%削減することが見込めるという結果も得られたという。
コンテナーヤードは日本にも多いが、この高効率化の結果が広く知られると、世界的な高効率クレーンとして受け入れられ、設置が進むのではないかと思う。