効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

バイオガスの利用

大規模な養豚事業をしている会社の社長さんから相談を受けた。糞尿処理の一環としてメタン発酵処理をしていて、それ自体はうまく稼働しているが、そこから出てくるメタンガスの利用をどのようにすべきかということだった。
産廃棄物や生ゴミ系の廃棄物をメタン発酵させて、そのガスでエンジンを動かして発電するプロジェクトが、政府の補助の下で幾つか実証試験がなされている。どこもメタン発酵はほぼ順調にいっているのに、エンジン発電で躓いているケースが多い。ガスエンジンは、もともと性状の安定したガスを燃料に使うことを前提にして設計されているため、発酵メタンに含まれているエンジンに悪影響を与える硫黄分を除去しても、カロリーなどがどうしても変動しやすいためにエンジンに不具合が発生するのだ。この社長さんのケースもそうで、ドイツから輸入したエンジンが2〜3年で使い物にならなくなったそうだ。バイオガスに使えるエンジンの開発完成度が高くないということなのだろう。
そもそもガスエンジンは畜産農家にとって扱い慣れたものではないためにメンテナンスも十分にはできない。だから、精製したメタンガスをそのままボイラーなどの燃料に使うことができれば一番良いのだが、発生するガス量に見合うだけの熱需用が近くにないことが多い。熱需用のあるところへガスを移動させようとすると、配管で結ぶか、高圧タンクに詰めて輸送するしかない。そうするとコストが上がってしまって、都市ガスやLPGの代替燃料にするには高くなりすぎてしまう。
いまバイオマスタウン構想が各地の市町村で策定されているが、その中で重要な位置を占めるバイオガスの利用をうまく行うには、性状の不安定なガスでも安定して稼働するエンジンの開発、ガスを低コストで移動させることの出来る輸送システムの開発が不可欠である。これができれば、都市ガス代替、LPG代替、天然ガス自動車天然ガス代替にバイオマスを発酵させたメタンの利用が進展するのだが。将来拡大するはずの生ゴミのエネルギー利用にも不可欠なポイントだろう。