効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

バイオ燃料

ワールドウオッチ研究所からのメール情報に興味ある数字が出されている。米国を中心に、トウモロコシなど食糧になる農産物を使って自動車用バイオ燃料を作る事業が急拡大していることについて、大型のSUV(スポーツ・ユーティリティー車)のタンクをバイオエタノールで一杯にすると、人間一人が365日食べるだけのエネルギーに相当するトウモロコシを使っていることになるというのだ。いままで、単に食糧になるべきものを石油代替燃料にするのがけしからんというだけの理解だったが、この数字を見て、大きな問題になる可能性が極めて高いと改めて認識した。いまトウモロコシや大豆からバイオエタノールを作る事業が、優遇策によって収益性が高くなっているために、作付面積が拡大、ということは、森林を農地にする動きが顕在化している。森林がなくなることは、森林を作っていた炭素が大気中に放散されるのに加えて、森林が吸収する炭酸ガスの量が減ることも意味するから、持続可能性という観点からすると全く逆の方向に向かっている。
バイオ燃料を持続可能性の高いプロセスで作る技術開発が求められるが、自分が関わっている畜産系廃棄物や食品廃棄物をメタン化するプロジェクトは、すでに技術としては確立しているから、残るのはいかにしてこれが事業として継続できるものにするかという政策の問題になる。この発酵メタンを使った発電からの電力と排熱利用について、環境負荷を下げるものとして社会が高く買い取る制度を早く実現してほしい。いまグリーン証書の制度拡大について、いままでは対象が電力だけだったのを熱利用についても組み込もうという動きもあると聞く。電気と違って熱は計量が難しいが、何か見なし量で優遇するような政策も検討すべきだろうと思う。また、先日参加した燃料電池シンポジウムで、日本でも固定価格買い取り制度の導入も考えられはじめたと聞いたが、一日も早く実現させてほしいものだ。