効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

天然ガスについて

昨日の日記にコメントで質問を頂戴し、それにコメントでご返事したのですが、もう少し天然ガスについて書いてみます。
都市ガス事業はガス管で燃料となるガスを送るのですが、昔は石炭を乾留(蒸し焼き)にして出てくる一酸化炭素と水素を主成分とするガスを送っていました。英国で始まり、ヨーロッパに拡がり、日本でも明治時代にはガス燈の燃料として使われたのです。電灯が普及するようになって、都市ガス事業は市場を失って倒産の危機に遭遇したのですが、熱利用という新しい用途を開発して今に至っています。
その石炭ガスが日本で天然ガスに変わったのは、メタンが主成分の天然ガスを摂氏−162度で液化してタンカーで運ぶ技術が開発され、アラスカから輸入されたのがきっかけです。1950年代のことです。欧米ではそれよりずっと前から、ガス田から出るガスを直接パイプで輸送して都市ガスとして使っていましたが、日本には新潟に僅かな天然ガス田があるだけでしたので、現在に至るまで日本で使われる天然ガスはほぼ全量がLNG(Liquefied Natural Gas:液化天然ガス)として輸入されたものです。都市ガス事業だけではなく、発電所の燃料としても使われていて、量的には発電用の方が10倍ほど多いのです。
LNGは現在、主として東南アジア、オーストラリア、中東諸国からLNGタンカーで輸入されています。このタンカーは大きな魔法瓶のような構造で、低温の液化天然ガスを保冷して輸送するのです。地中から採掘された天然ガスは、殆どがメタン成分となるよう精製されてから極低温で液化されます。その過程で硫黄分などの不純物は除去されます。それでもメタン以外にエタンやプロパンなどが含まれているので、生産地によってその成分が違い、性状に少しずつ違いがあるのですが、都市ガスとして送る場合には、産地別にミックスの度合いを考えたり、プロパンやブタンを入れて熱量や燃焼性を調整して、どのようなガス機器でも良く燃えるようにしてパイプで送られているのです。
メタンガスというと、すぐ沼などからぶくぶく出てくる臭いガスを思い浮かべますが、メタンは無色無臭の気体です。石炭ガスの時代には臭いの成分が製造の過程で入っていたのですが、天然ガスになってからは無臭になったために、微量の臭いの成分をわざわざ添加して、石炭ガスと似通った臭いになるようにしてから送られています。そうしないと漏れても気がつかない可能性があるからです。
メタンは空気より軽いので漏れたら上に行きます。ですから、ガス漏れ検知器は天井近くに取り付けるのです。LPG(Liquefied Petroleum Gas:液化石油ガス)は主にプロパンとブタンの混合ガスですが、空気より重いので漏れたら下に行き、床に溜まるようになります。ですからLPGのガス漏れ検知器は床近くに取り付けるのです。