効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

ミシガン州と再生可能エネルギー

ミシガン州は、1966年から1年間ミシガン大学経営学大学院に留学していた、そして、今の連れ合いとの縁が出来たという意味で、自分には米国の中でも特別の地域である。その州議会が、米国が自然エネルギーの利用を拡大させる方向に大きなステップを踏み出したようだ。
米国では州政府が新しい政策を連邦政府よりも先に創り出し実施することが多い。日本の地方自治体は中央政府の政策が示されなければ身動きできないのと対照的だと思う。米国の成り立ちの歴史を見ると、州政府が自らの権限の一部を連邦政府に委託する形で連邦政府の権限が生まれている。従って、州政府が独自の政策を打ち出すのは日常的に行われるのだ。連邦政府の動きだけを見ているのでは、米国の行方を予測することはできない。
このほどミシガン州議会に、太陽光発電バイオマス発電、地熱発電風力発電などの再生可能エネルギーの利用を促進するための法案が提出された。米国で初めて、このような再生可能エネルギーによって発電された電力を、電力会社に高い固定価格で買い取らせる制度を導入しようとしている。貰ったメール情報によれば、風力発電で10.5セント/kWh、小型風力で25セント、30kW未満の太陽光発電で65セント、150kW未満のバイオガス発電で14.5セントなど、全米でもっとも高い価格になっている。
どうもこの主眼はミシガン州にある薄膜型太陽光発電システムのメーカーを支援して、その会社での雇用を促進するところにあるようだ。この価格であれば、再生可能エネルギーを利用する人なり企業は、設備を取り付けることで十分な利益を出すことが出来る。動機はともあれ、ドイツ型の固定価格電力買取制度を導入しようとしているわけで、この法案が議会を通れば、他の州に波及することは間違いなかろう。炭酸ガス排出の削減効果も当然伴うが、雇用拡大が法案の眼目の一つになっているのが面白い。
原発の供給安定性に疑問が投げかけられ、これからの成り行き次第ではイランからの石油輸入にも支障が出るかも知れない日本は、このような動きから学ぶことはないだろうか。