効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

バイオガス

午後、バイオガスシステム研究会の月例会合に遅れて参加。遅れた理由は、植物由来のプラスティック素材の新しい用途開発についての議論をする会合が長引いたためだ。
この研究会は、畜産糞尿をメタン発酵させてエネルギーを取り出し、最終出てくる汚水を川に流しても全く問題ないまで浄化できるシステムの普及を考えようとする企業が集まってできたNPOである。畜産糞尿に限らず、このメタン発酵方式は食品廃棄物も対象とするが、基本は畜産農家が受け入れられるコストと扱いやすさのものが開発されたのを機に結成されたものである。すっと昔は、牛、豚の肥育頭数が小さかった。その時代には、糞尿は溜めて発酵させて肥料に使えた。しかし、畜産業の集約が進んで、例えば数千頭以上の豚を飼っている養豚場から排出される糞尿は、適切に処理されなければ河川や土壌の汚染を起こしてしまう。これまで農林水産省は、これを堆肥にして農家に使って貰うことによってこの問題を解決しようとしてきた。堆肥センターが全国に作られて堆肥ができているが、その堆肥の量が、農家の受け入れることができるレベルを超えてしまっている。折角作った堆肥がゴミとして処理される事態になっているのだ。農家は高齢化し、重たい堆肥を農地にまくだけの力がないのも現実だ。また、堆肥も完熟したものでないと農家は使わない。家庭で生ゴミから堆肥を作り、菜園に使うのはいいのだが、事業規模でこれを行うのは次元が違うことなのだ。
畜産糞尿のメタン発酵ガス化はヨーロッパで普及している。ガス化しても堆肥として処理すべきものが出てくるが、量は大きく減少する。そしてメタンガスを使って発電すれば、再生可能エネルギーとして利用できることになる。いままで、外国の技術を導入してテストが行われてきたが、気候風土が異なるところで開発されたものは、日本で定着しなかった。このガス化技術を日本の農家が使えるものにすべく技術開発をして実証プラントの運転に成功したのが、このNPOの理事長亀岡博士と協力企業である。このNPOのホームページは http://www.biogas-sys.jp/
現在の課題は、農林水産省が畜産糞尿処理が全国的にうまく進んでいないのに、依然として堆肥処理にこだわり続け、メタン発酵を促進させるための予算措置を講じようとしていないことだ。簡易的な処理がいまのまま放置されると、全国の河川の水質汚染が進む可能性もある。その結果、我々の食料を供給してくれている畜産農家が事業を継続することが難しくなることも考えられる。
ある養豚場で順調に稼働を続けているメタン発酵プラントの写真を、このNPOから拝借して掲載する。