効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

南極大陸と気候変動  

地球は23.4度の傾きを持つ地軸を中心に回転し、太陽の周りを約26,000年で一周する動きをしている。そして、地軸の回転が世界の気候条件を決定していると言っても良かろう。その地軸の両極が北極であり、南極である。その両極の違いで決定的に大きいのは、北極には大陸がないのに対し、南極にはオーストラリアより大きい大陸があるということだ。北米大陸からカナダの領域を除いた大きさにほぼ等しい。

気候温暖化の影響として北極海について言われることが多いのは、氷が溶けて船舶の航行がやりやすくなったとか、氷という障害物が少なくなったために、今後北極海海洋資源、地下資源の開発が進むだろうなどの、プラスの評価だ。その逆が南極。

今年は各地で猛暑が報じられている。その中でも脅威だと言えるのは、2022年に観測された南極大陸の気温上昇だ。オーストラリア大陸で温度の上がった気流が南極に流れ、これまでであれば、-50℃だったものが、-10℃と38.5℃も高くなった。

気候変動の一例に過ぎないと言えばそれまでだが、南極大陸の場合には、これまで地表面に固定されていた氷が大量に溶け始め、それによって海面上昇も起こっている。インド洋にあり、標高の低い島からなるモルディブ共和国では、海面上昇によって国が消失する可能性が心配されている。南極大陸周辺の海に浮かんでいる氷山は、溶けてバラバラになっていく。この場合には海水面の上昇は起きないが、氷山そのものに加えて、周辺に住む生物が大きな影響を受けることになる。この辺に住むアデリーペンギンの増加数が激減しているとも言われている。

氷の量で見ると、地球上の氷の90%が南極大陸に、9%がグリーンランドにある。南極の氷の厚さは、最も厚い所で4,500m、平均2,450m。

今後この状況がどのようになっていくかは解明されていないが、世界的な気温上昇の象徴のようなものになっている。気候変動の具体的な数字として、まさに氷山の一角だと言えるだろう。この上昇した南極大陸の気温がすぐ元に戻るとは考えにくい。新たな氷が生成されることはないとは言えないが、溶ける量の方が多いのは確かだから、南極大陸にある氷の堆積量は急速に減少していくことになる。それに伴って、氷が鏡のように太陽光を反射させて宇宙に戻し、地球温暖化を抑制する効果も大きく減少する。

化石燃料を大量に消費する工業化社会が起こしたものだが、それを人類が起こしたものとは言えないだろう。工業化した国に住む人口は、工業化とは無縁の途上国に住む人口より遙かに少ないからだ。今後、エネルギー源を再生可能エネルギーへ大幅に転換したとしても、それまでに放出された温暖化効果を持つ炭酸ガスは、大気中に長期に亘って留まることになる。カーボンキャプチャーの技術が実用化しても、当面捕捉できる炭素の量は、それまでに放出したものから見ると僅かなものだ。

 まず我々がやるべき事は、効率的にエネルギーを消費する社会構造を実現し、推進することだろう。