効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■グリーンランドで進む氷解

 昨日5日の毎日新聞が一面トップで報じ、三面まで書かれた内容には、背筋が寒くなった。グリーンランドでは真夏でも摂氏10度を超えるのは希だが、この7月は連日20度前後となる異例の高気温を記録し、一月だけで琵琶湖7杯分超にあたる1970億トンもの氷解水が海に流れ出たという記事だ。グリーンランドは日本の6杯の面積を持つのだから、そこに氷として存在する水は、氷である限り海水面の上昇とは無関係。また、北極圏の氷が溶けて新しい航路が開かれたということは以前から聞いていたが、北極は大陸ではないために氷山が溶けても海水面は上がらない。しかし、グリーンランドは大きな島だから、その上にある氷が海に流れ出ると、確実に海水の絶対量が増えるために海水面は上昇する。それは南極大陸の温暖化でも同じことで、南極大陸があるために地球温暖化が海水面を押し上げることになっているのは事実だ。

 だが、この現象を短期的な視点で見ると、新しい事業機会が生まれるということになる。この記事では、米国のメディアが8月に、トランプ大統領グリーンランドを買収すると報じたとしているが、資源開発と新たな貿易航路が生まれるということから生まれるニュービジネスを米国に取り込もうということであることは確かだろう。米国地質調査所によると、北極圏を覆う氷の下には、地球上で未発見の天然ガスの30%、石油の13%があり、金、ダイヤモンド、亜鉛、ウラン、レアアースなど未開発の鉱物資源も豊富だとされている。また、北極海に生まれる商用定期航路が生まれると、パナマ運河スエズ運河の必要度が下がり、この地域の地政学的リスクが下がり、輸送コストも削減できる。

 だが、これを単純に事業機会だとする考え方は、正にこの間国連で演説したスエーデンの女生徒グレタ・トゥーンベリの警告の対象そのものとなる。さらに言えば、短期的には事業機会だが、それにすぐ続くのが地球上の生命に回復不可能なダメージだ。そして、グリーンランドに目を付けているのは米国だけでなく、中国もロシアも狙っている。事業より先に国の対立が世界を破壊するかも知れない。目を離せない地域がまた生まれたということだ。

 

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