効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■曲がる太陽電池

 シリコン系の太陽光発電パネルは、ガラスのようなものだから、亀裂が入りやすい。それに対して、ペロブスカイト電池は太陽光パネルで主流のシリコン製と比べ、重さは10分の1程度と軽く、折り曲げやすい。ただ、水分に弱く耐久性に課題があり、現在ではスマートフォン向けなど用途の広がりに欠ける。積水化学は液晶向け封止材などの技術を応用し、液体や気体が内部に入り込まないよう工夫し、10年程度の耐久性を実現していると報じられている。 同社は、100億円以上を投じて製造設備を新設し、30年時点で年数十万平方メートルのペロブスカイト型太陽電池を生産する。発電量は数十メガワット。フィルムに結晶の膜を塗布しロール状に巻いて連続生産する。 一方、ペロブスカイト電池に関する研究については、中国の存在感が増しているとも報じられている。それによると、2019年以降に中国が関わった論文数は上位10カ国全体の3割と首位だった。中国軍に近い組織と日米の共著は1割を超え、安全保障リスクを懸念する見方もある。 太陽光パネルの分野では、かつてシリコン型の開発・実用化でも日本勢が先行していたが、中国勢の攻勢で多くが撤退に追い込まれた。同様の事態を避けるため、日本政府は4月、ペロブスカイト型太陽電池の普及支援を打ち出し、公共施設で積極的に設置するなど需要を創出したり、量産技術の開発や生産体制の整備を支援したりしている。 ペロブスカイト型太陽電池は薄膜材料を活用することで折り曲げられるのが特長で、建物の壁や電気自動車(EV)の屋根などにも設置できる。09年に日本の大学教授らが開発して以降、海外の太陽電池研究の8割を同型が占めるなど注目が集まっている。 データ解析支援のフロンテオが、10年から22年3月までに公表されたペロブスカイト型に関する国際論文3万8千本超を調べた。浮かび上がったのは、日本発の新興技術でも、基礎研究で先行するのは中国という実態。従来の太陽光パネルはほぼ中国製のため、日本政府は脱炭素とエネルギー安全保障の観点から次世代型の国産化で脱中国依存を目指している。ただ論文数では中国が14年に米国を逆転してから、その差は年々開いているのが実情。 日本は山間部が多いなど、従来型太陽電池に適した立地が少なくペロブスカイト型の市場性は大きいと言われている。市場調査会社である富士経済によると、世界のペロブスカイト型の市場規模は35年に1兆円になると見ている。日本と中国の関係で見ると、シリコン型の二の舞になってほしくないが、現実はどのように展開するのだろうか。

 

 

 

 

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