効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■カーボンフリー配送

物流企業が最終配達地点での配送手段は、化石燃料であるガソリンかディーゼルエンジンで走る車なのが現状だろう。このラストワンマイルでの温暖化ガス排出を大きく削減できるのは、まず再生可能エネルギーによる発電量の全電力内比率を高めて、その電力を蓄電して自動車を走らせるか、再エネ電力で水を電気分解して水素を作り、それを燃料電池なり水素エンジンの燃料に使うことだ。

報道によると、ドイツポストDHLグループは「ラストワンマイル」で「カーボンフリー配送」を始めたほか、2030年までに電気自動車(EV)の導入台数を現在の2倍以上の約8万台にする。ヤマトホールディングス(HD)は、二酸化炭素(CO2)排出量の可視化ツールの開発に着手した。「スコープ3」と呼ばれる取引先などサプライチェーン(供給網)全体で温暖化ガス排出量を減らす動きに対応したものだ。

スコープ3は温暖化ガス排出量のうち、自社からの直接排出を示す「スコープ1」と電力などの使用に伴う「スコープ2」を除くすべてを指す。排出量全体に占める割合が高いことから重要視されている。スコープ3の排出量算出は、国際基準「GHGプロトコル」をもとに原材料の調達や製品の輸配送、従業員の通勤・出張など15項目が定められている。企業によっては8~9割を占める場合も少なくない。輸配送も算出の対象となるため、荷主からの要望が強まるなかで物流企業はCO2排出量の見える化や削減対応を急いでいるようだ。

日本通運では輸送時のCO2排出量を計算し、顧客に最短1日でリポートを提出するサービスを22年9月から提供している。トラックからフェリーや貨物鉄道に輸送を移し替えるモーダルシフトもCO2排出量削減の手段として進んでいる。

日本総合研究所アビームコンサルティングが22年に発表した調査では、CO2排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」への参加を表明している経営者は7割以上に上る一方で、スコープ3での削減対策を着手できている企業は3割程度にとどまる。課題には算出やデータ収集の煩雑さが挙げられている。サプライチェーンにおけるCO2排出量の見える化は重要で、選ばれる物流企業になるための取り組みになりそうだ。

 

 

 

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