効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■化石燃料から作った水素の利用

水素を燃料として使用すると、酸素と結合して水(水蒸気)ができ、通常の化石燃料を使ったときのように気候変動の要因となる炭酸ガス(CO2)は排出されない。しかし、その水素が、再エネによる発電電力で水を電気分解したものでなければ、水素を製造する過程でCO2が排出される。一方、水の電気分解で十分な量の水素を製造できるほどの再エネ電力発電設備は整っていないし、水の電気分解設備や水素の輸送設備も大きく不足している。

そのジレンマを一時的にでも解消するためだろうが、国際エネルギー機関(IEA)は、化石燃料からつくる水素でも一定の条件を満たせば「クリーン」とみなす指標をまとめたと報じられている。水素は燃やしてもCO2が出ない次世代エネルギーと位置づけられている。水素には、再生可能エネルギーの電力でつくる「グリーン水素」、天然ガスなど化石燃料からつくり、その際に出るCO2を回収する「ブルー水素」といった複数の分類がある。

ブルー水素は化石燃料からつくるため、どうすれば環境配慮とみなされるか共通の指標を求める声があった。それに応じてのことだろうが、日米欧など約30カ国からなるIEAは水素がクリーンかどうかを、水素製造時に出るCO2排出量の割合を示す「炭素集約度」を使って決める指標をまとめた。1キログラムの水素製造で出るCO2が7キロを下回ればクリーンとみなすという。化石燃料から水素を製造して7キロ以上のCO2が出ても、CO2を大気に放出しない回収技術などを用いて実質の排出量が7キロより少なくなれば許容する。回収設備の駆動に必要な電力の発電や燃料からのCO2排出がこの中に入るのかどうかは報じられていない。

IEAの指標の順守は義務ではないものの、基準を明示することで企業が投資しやすい環境を整える。日本は5月にも水素戦略を改定する方針で、当面は天然ガス由来のブルー水素を軸に普及を進めることにならざるを得ないだろう。

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によると、世界が2050年に温暖化ガスの排出の実質ゼロを目指す場合、水素は最終エネルギー需要の12%を占めるという。また、世界の水素関連企業でつくる「水素協議会」と米マッキンゼー・アンド・カンパニーがまとめたリポートによると、50年の世界の水素・派生品の需要は6億6千万トンに達するらしい。

この大量の水素需要に、どのように対応するか。まだ、具体的な方策は見えないが、2050年の脱炭素目標を達成するには、革命に近いエネルギー構造の変化を実現しなければならない。そのコストは全てエネルギー価格に反映されるから、まず再エネによる発電規模を急速に拡大することが必要となる。しかし、その再エネの価格低下が伴わなければ、エネルギーコストの上昇に対応する社会構造に変えなくてはならないだろう。

 

 

 

 

 

 

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