アンモニアは燃焼時に二酸化炭素(CO2)を出さないため、世界的な脱炭素化を背景にクリーンな燃料としての活用に期待が高まっている。アンモニアを燃料にした発電は既存の火力発電の設備を流用しやすい利点もある。現在のアンモニア製造は、20世紀初頭に開発された「ハーバー・ボッシュ法(HB法)」が主流。化石燃料からつくった水素ガスと空気中の窒素を合成してつくる。ただ、途中段階で水素をつくる際にCO2を多く出すほか、水素と窒素の合成時にセ氏400~600度、100~300気圧の条件が必要で、多くのエネルギーを消費する。アンモニアの製造過程におけるCO2排出量は世界全体の3%を占めるとされる。
製造過程の脱炭素化には現状、水素をつくる際に出るCO2を地下に貯留する「ブルーアンモニア」や、太陽光など再生可能エネルギーでつくる水素を使う「グリーンアンモニア」に期待がかかる。これらに加え、高温高圧の状態にする工程の改善が求められる。これを巡っては、企業による新たな製造技術の開発が広がっている。大阪ガスなどが出資する米新興企業は低圧でつくる技術を開発。出光興産は2024年までに製造コストを半分程度に抑えた技術を実証するとしている。
米コロラド州の州都、デンバー。その一角に次世代のアンモニア製造技術の開発に挑む米スタートアップ、スターファイアエナジーの研究所がある。同社は従来と比べ必要な圧力が約10分の1で済む製造技術を開発、現在は1日100キログラムの生産能力を持ち、今後はさらなる大型化を目指す。スターファイアは触媒に貴金属のルテニウムなどを使い、必要な圧力を10~30気圧ほどに下げることに成功。HB法で使う鉄触媒と比べ低圧でも反応させやすい。製造設備は複数部品を組み合わせる「モジュール化」でき、風力発電所などの近くに置いて再生エネ電力を有効活用しアンモニアを効率良くつくれる。
アンモニアと水素のどちらがこれからの主力燃料となるだろうか。また、化石燃料業界がどのようにこの変化に対応するかも今後の大きな課題となる。
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