効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■CO2回収にLNGの冷熱活用

電力事業や都市ガス事業でLNGを輸入して燃料や原料にしているところが多い。LNG天然ガスを-162度Cまで冷却して液化したものだが、LNG輸送船で送られてきた物は、そのまま低温タンクに保存され、必要な時に取り出して元のガスに戻している。その時には通常海水を熱交換器に注入して液化ガスの温度を上げるのだが、その冷熱は海水に取り込まれてそのまま海に捨てられてきた。この冷熱を有効に利用する研究が進んでいる。これまでも膨張する天然ガスの圧力を利用してタービンを回して発電する方式はかなり前から行われてきたが、海に捨てられるエネルギー損失はまだ大きかった。

その冷熱を空気中の炭酸ガスを捕捉する(Carbon Capture)のに利用する技術開発が日本で始められたと報じられている。大気から二酸化炭素(CO2)を直接回収する「DAC(ダイレクト・エア・キャプチャー)」は脱炭素社会の切り札となる技術の一つだが、名古屋大学の則永行庸教授は液化天然ガスLNG)が気化するときに周囲の熱を奪う「冷熱」を使うユニークなDACの研究に取り組んでいる。

LNGが蒸発して天然ガスに戻る際、周りから熱を奪う。この『冷熱』を利用して生み出す圧力差で大気中のCO2を回収する。東邦ガス日揮ホールディングスなどと共同で研究しており、2023年度には年1トンのCO2を回収できる試験設備を学内に造り始める。24年度をめどに試験運転を始めたい」と則永教授は述べているとのこと。

欧米でも大気中から炭酸ガスを回収する技術は開発されているが、炭酸ガスを溶剤に吸収させ、それを加熱してガスを取り出す方式だ。それには加熱のエネルギーが損失となる。それに対し、この新しく開発するシステムは吸収塔、再生塔、昇華槽から成るが、まず吸収塔でアルカリ性の液体が空気に触れてCO2を吸収し、再生塔へ移る。再生塔の下流には昇華槽があり、昇華槽をLNGの冷熱で冷やすと(CO2が固体のドライアイスになり体積が減る結果)圧力が下がる。これにより再生塔の吸収液からCO2が空気中に飛び出し、昇華槽へ移る。昇華槽ではドライアイス状態のCO2を温めて再び気化させ、高圧のCO2として取り出すという方式。

同教授に拠れば、これまで未利用だったLNGの冷熱を使うため、従来手法と比べてコストで優位性があり、最適化できればCO2を1トンあたり2万円台で回収できそうだ。現時点で従来手法と比べて2~3割のコストで済む場合もあると試算している、とのこと。日本は世界有数のLNG輸入国だ。全国に40カ所を超える受け入れ基地があり、年間に約7,600万トンを輸入している。新しいこの方式では、LNG1トンの冷熱で0.8トンのCO2を回収できるとみている。輸入量全量を利用できれば、6,000万トンを回収できる計算になるとのこと。

開発が順調に進むことを期待したい。

 

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