インドはまだ石炭火力発電への依存度が56%(2018年)と高いが、風力発電拡大に努力している。国土が広いことから、これから太陽光発電の設置も進むだろう。22%が再生可能エネルギーで、それに水力を加えると35%にもなる。
風力、太陽光発電の比率が高くなると、送電系統の安定性を維持するために大規模蓄電池が有効になるが、その主流はリチウムイオン電池になるだろう。その構成元素であるリチウムについて、隣国パキスタンとの係争地を含むカシミール地方で推定590万トン規模のリチウム鉱床を発見したと発表されている。ンドでは資源開発に期待が高まる一方、地政学上あるいは技術面での課題も指摘されている。報道によると、インドは2020年から21年にかけ、リチウムの7割を中国などからの輸入に頼った。リチウムイオン電池の輸入量も多い。米地質調査所(USGS)によれば、インドで発見されたというリチウム鉱床が正式に確認された場合、同国はボリビア、アルゼンチン、米国、中国などに次ぎ、確認埋蔵量で世界上位に躍り出る。
インドは2030年までに販売台数で、自家用車の30%、商用車の70%をEVに転換する方針だが、リチウムの国内生産を増やし、輸入依存を脱却できれば、EV産業の育成につなげることができるかもしれない。ただ、パキスタンとの間に存在する政治的緊張が、鉱床の開発を順調に進めることの妨げになる可能性はある。リチウムの鉱石を掘り出せても、それを蓄電池に使える素材にする工場を建設できるかどうかは定かではない。パキスタンからの妨害がある可能性も考えられるからだ。
英BPの資料によると、20年末の時点で中国は世界のリチウム埋蔵量の7.9%を占める。だが、中国は精製・加工能力で世界の60%をコントロールするとみられていると報じられている。中国にリチウム精製過程を奪われる可能性もある。インドがこれからどのようにリチウムを利用する産業を育てるかは、日本にも関係することになる。これからの開発状況を見守っている必要があるだろう。
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