米国のアリゾナ州にある電力事業が保有する送電系統に接続された大型のリチウムイオン電池設備が爆発したということだ。リチウムイオン電池の電解液は可燃性で、パソコンやスマートフォンなどに使われる小型のものも、火を噴くことがあるが、基本的な構造には差がないだけに、いま急速に普及が進む系統接続用の大型蓄電池の取扱について、このような爆発が起きないようにする対応策に関心が集まっているようだ。固体電解質のものになればこのような可能性は小さくなるだろうが、まだ開発途上。ただ、このアリゾナの大型蓄電池自体が爆発したのか、それ以外の電気設備に火災が起きて、それが蓄電池を爆発させたのか、確たる原因はまだ分かっていないようだ。カリフォルニア州やニューヨーク州などでは積極的に蓄電池の設置を進める政策もとられているだけに、アリゾナでの爆発原因に関心が集まっている。
太陽光発電や風力発電が普及すると、極端に言えば、そのような再生可能エネルギーからの発電量だけで電力需要を上回る可能性もある。蓄電池の製造コストが急速に下がり、変動を予測しにくい再エネ発電の出力変動を抑制するために利用されていたガス火力発電所が、大規模蓄電池に入れ替わるのも時間の問題のように見える段階に入っているだけに、原因追及を徹底的に行う必要がある。
また、需要サイドに中小規模の蓄電池を設置して、コストが安い時間帯の電力を貯めておいて、高い時間帯に放電させるという方式も拡大の途上にある。建物の屋根などに設置された太陽光発電の蓄電も、電力事業が系統安定化に利用しようとするビジネスも拡大する方向にあるが、現時点では殆どがリチウムイオン電池であるだけに、高いレベルの安全性を確保する必要が高まっている。その安全性の範疇には、蓄電池以外の設備からの火災によって電解液がガス化して爆発する可能性もあるから、高度の安全基準の設定が必要となる。それは、蓄電池を収納する箱や建物の構造も含めたものとならざるを得ないだろう。
アリゾナでの蓄電池爆発事故の原因調査結果が出るのはいつ頃になるかが知りたいものだ。