効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■大型リチウムイオン電池のリスク

リチウムイオン電池電解質が溶液で発火し易いとされている。その対応として固体電解質の蓄電池の開発も行われているが、まだ実用化には至っていない。一方、太陽光発電風力発電といった、天候次第で出力が不規則変動をする電源からの電力を制御するために、最近急速に大型のリチウムイオン電池の設置が進展している。

最近この発火リスクが顕在化したと言える火災事故が報じられている。米国アリゾナ州の電力会社が設置した2MWのリチウムイオン電池が火災を起こしたのだ。アリゾナ州には広大な砂漠もあって、大規模な再エネ発電の設置が進んでいる。その変動を抑制するために大型蓄電池が2017年5月に設置されたのだが、それがこの4月に火災を起こしたのだ。まだ原因は調査中で、リチウムイオン電池そのものの事故かどうかは分からないようだが、業界では深刻に受け止められ、原因調査が行われている。このメーカーはFluenceで、378の蓄電池モジュールからできている。同じ規模のものが幾つか設置されたようだ。再エネ電力の価格が急速に下がったのに合わせて、多くのメーカーが登場して、蓄電池の設置は急速に伸びている。

蓄電池が現在抱えているリスクに対応するものとして、位置のエネルギーを利用する蓄電がある。その代表的なものは、揚水発電。電力が余るときに下池から上池へタービンで水を押し上げて保存しておき、電力が必要になったときに水を落として水力発電をする。世界的にこの方式は普及してはいるが、川と地形の制約があって、開発の余地は殆どなくなっている。そのため、今開発されようとしているのが、重量のあるコンクリートのような塊を、余った電力で釣り上げ、電力が不足するときにはそれを吊り降ろすことで発電機を回す方式だ。化学反応はなく、格別ハイレベルの技術が必要でもない。いま、再エネが急速に増大しているインド政府が、この方式の実用化に向けての実証試験を行おうとしているとのことだ。

いま主として太陽光発電の急増のために、工場などが稼働していない土日などに再エネ発電を抑制せざるを得なくなっている九州電力でも、このような方式を検討するかも知れない。