効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■食品残さを鉄鋼業に活用

食品残さを鉄鋼業の脱炭素に生かす取り組みが動き出している。近畿大学は食品残さなどを圧縮して固め「バイオコークス」として燃料化する研究を進め、製鉄に使う石炭コークスの代替燃料として、2024年をめどに実用化を目指すと報じられている。食品業界にとって、残さを二酸化炭素(CO2)削減に生かす選択肢の一つになる。

北海道恵庭市にある近畿大学バイオコークス研究所。倉庫の天井近くまで高さのあるバイオコークスの製造装置が稼働している。原料となるそば殻を機械に入れ、20分ほど圧力と熱をかける。その後に冷却し、筒状に成型されたそば殻が押し出され、取り出し口に落ちる。空気が抜けて7分の1ほどの体積に固まったそば殻がバイオコークス。バイオコークスは茶殻、コーヒー、揚げ物の残さ、綿布など、植物由来のさまざまな素材を固めて作ることができる。性質は元の素材によって若干変わるが、大きな差にならないことが特長で、ずれの素材で作っても、重さ1キロあたり4500キロカロリー前後のエネルギーをもつ燃料になる。

住商シネックスによると、一般的な150トンの電炉で1年間に使う石炭コークスはおよそ4000トンほど。石炭コークスは鉄鉱石の還元に作用するほか、燃焼の役割を果たす。実験によると、このうちおよそ2000トン分にあたる燃焼用石炭コークスはバイオコークスに置き換えても問題がないという。

食品メーカーからの関心も高まっている。食品メーカーは商品の製造過程で出る残さを飼料や肥料向けに使ってきたが、より付加価値の高い形での活用方法を模索している。バイオコークスに活用する場合、業界をまたいでカーボンオフセットに協力できるメリットがあるようだ。

産業界ではCO2に価格をつけるカーボンプライシングの考え方も発展しつつある。CO2排出削減に価値を付けて市場で取引するクレジット取引が発達した場合、カーボンオフセットに貢献することで、食品業界から出る残さをより有効に活用できるようになる可能性もある。近大の井田教授によると、食品メーカーからは相当量の残さが出ているが、製鉄に使うバイオコークスをまかなうほどの量を集めるのは難しいようだ。バイオコークスの普及には原料の安定調達が欠かせないが、どのような調達網が築けるかが模索されている。

 

 

 

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