効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■新日鉄、水素による溶鉱炉を海外で

現在行われている製鉄向けの溶鉱炉は、石炭が主たる素材・燃料だが、世界的に拡がる企業活動のグリーン化の流れに乗るために、日本の製鉄事業は、安価な水素を大量に入手しやすい海外に製鉄所を建設する方向に向かっているようだ。新日鉄は1,000億円を超える投資をすると報じられている。場所はまだ決まっていないようだが、オーストラリアとブラジルが候補になっているらしい。製品流通を考慮すると、多分オーストラリアになると想定される。

鉄需要は上昇しているが、それに対応しながら、いわゆるグリーン・トランスフォーメーションに沿った製鉄をするには、石炭に代えて大量の水素を安定的に確保しなければならない。現時点では、製鉄の溶鉱炉は最大の炭酸ガス排出事業の一つであり、アジアでの製鉄所から排出される炭酸ガスは、世界の70%を占めているらしい。それをグリーン化するには、大量の水素を主体とする素材を確保しなければならない。しかも、その水素は、再エネ電力で水を電気分解したものでなければならず、大量の再生可能エネルギーによる電力を確保しなければならない。グリーン製鉄所の建設には、安定大量の水素の調達という大きな壁が立ちはだかることになる。中国や韓国などの製鉄所も、今世紀の中頃にはカーボンニュートラルを実現すると宣言しているから、それに遅れることはできない。

新日鉄がまず取りかかるのは、既存の溶鉱炉で、石炭を順次水素に置き換えることだろう。それに続いて水素100%のプラントを建設する方向に向かう。また、鉄のスクラップを使った製品の製造拡大にも着手するだろう。新日鉄は、2050年にカーボンニュートラルを達成する目標を実現するとしているが、そのためには、この10年で温暖化ガスの排出を30%削減しなければならない。日本の電力コストは世界的に見てかなり高いから、海外で水素による溶鉱炉の操業をするのは、ほぼ確実だと言える。同業のJFEも同じような計画を立てている。両社とも、日本で安い電力が入手できれば、日本で操業したいという意向を示しているが、まず不可能だろう。

これから秋田沖に大規模な洋上風力発電が新設されるが、たとえその発電コストが安くても、十分な量の水素を製造することは不可能に近いから、まず確実にオーストラリアに溶鉱炉が新設される方向に行くだろう。日本の産業に与える影響も大きいはずだ。

 

 

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