効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■東芝の地熱発電

日経ビジネスが、東芝が10年をかけて開発した地熱発電を何とか運用できるようになった経過を紹介している。日本は米国、インドネシアに次いで地熱容量の大きい国で、2,347万キロワット(kW)相当の大きさの潜在量があるとされるが、前にも書いたことがあるように、地下構造を目で確かめることが出来ないために、掘削しても高温の地下層にぶつかる確立は高くない。そのため、想定されている地熱容量の2%しか発電に生かせていない。

日本百名山の一つとして知られる焼岳のふもと、標高約1200mの地点に中尾地熱発電所(岐阜県高山市)ができたが、最初の開発から運用までを手がけているのが東芝。一貫運用は珍しいという。運営会社には東芝側が55%、中部電力グループのシーエナジーが45%をそれぞれ出資。最大出力は1998kWで年間発電量は1400万~1500万キロワット時(kWh)と、約4000世帯分の電力を賄うことになる。12月1日から営業運転を始めた。

ここも温泉地帯だから地元の同意が得られないと掘削もできない。温泉事業者からは泉源が涸れるのではないかという心配もあって、同意を得るのに時間がかかったようだが、泉源が見つかれば、そこからの湯を無料で温泉事業者に供給することで同意を得たらしい。その泉源も安定していなければ枯渇する怖れがあるが、その難題も何本かの掘削で克服したようだ。2つ目の井戸は17年、地中の鉄管が熱水の圧力に負けてつぶれてしまった。壊れた箇所は構造を改善したが、18年には別の理由でまた停止した。地層を再調査すると、地下1500m前後に水を通しにくい層があり、熱水や蒸気をくみ上げると再びたまるまでに時間がかかると分かった。やや浅い地点の鉄管に火薬を詰め、点火して穴を開けるパーフォレーションという作業を実施。どうにか稼働を続けられる状態にこぎつけた。よくこの事業を継続できたものだと思う。

次の課題は送電系統への連系がしにくいということだったらしい。太陽光発電が急速に拡大したために、中部電力の系統には接続できず、結果的には近くを通っていた北陸電力の系統を使わせて貰ったという。地熱発電は熱水の湧出量の変動で出力が変わり、その予測がし難いことも系統連系を難しくしたようだ。だが、夜は発電しない太陽光発電と異なり、地熱発電は多少の変動はあるものの、24時間発電出来るという利点がある。

地下から噴出する水蒸気にも、発電設備を腐食させたり、導管を詰まらせたりする物質が含まれているために、それへの対応ができるタービンや集熱導管を開発するという苦労もあったようだ。トラブルが起きた場合のパターンを自己学習し、次の予兆を把握できるようになったが、インドネシアのパトハ地熱発電所に、東芝が今年からこのシステムを提供している。このような経験の蓄積が、今後日本の地熱開発を推進するのだろう。

 

 

 

 

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