効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■海洋温度差発電

海面の水温と、それよりも水温が低い海底の海水の温度差を利用して発電するのが海洋温度差発電だが、これは理屈では可能だが、実用化は規模やコストの問題があって、実現は無理だろうと思っていた。だが、これが実証試験の段階に来ていると報じられている。

太陽の熱で暖まった表層の海水と、冷たい深海の海水をそれぞれくみ上げ、代替フロンアンモニア水など沸点の低い「作動流体」をその間で循環させ、流体は表層水の熱で蒸発して発電タービンを回し、その後は深層水で冷やされて再び液体に戻るというサイクルを繰り返すという発電システムだ。国内唯一の海洋エネルギーに関する共同研究拠点が佐賀大学海洋エネルギー研究所。2002年に開設した同研究所では、潮流発電や波力発電などあらゆる海のエネルギーを活用する研究が進められているが、なかでも歴史が古く、佐賀大が先駆者として走るのが海洋温度差発電だとのこと。研究所開設前の1973年から半世紀にわたり、実用化に挑んできた。

同研究所では技術研究を終え、近年は実用化に向けた実証に力を入れているとのこと。舞台としているのが沖縄県久米島町にある最大出力100キロワットの久米島実証プラントだ。沖縄県などと連携して2013年に稼働、安定して効率的に電気をつくれるよう取り組んできた。安定発電には成功したが、商用化に向けて壁になるのがプラント建設費も含めた発電コスト。建設には深層水を組み上げるための取水管の敷設など大がかりな工事が必要で、規模にもよるが水力発電用のダム並みの費用がかかるという。

久米島プラントでは総合的なコスト抑制に向け、くみ上げた海洋深層水の農業や漁業への利用を進めている。研究所が技術協力し、地元企業などが低温で栄養豊富な深層水を生かして野菜などを栽培。ホウレンソウの収穫量を増やしたり、良質な海ぶどうの養殖に成功したりと成果を上げてきたようだが、それだけでは発電コストが大きく下がることにはならない。

そうしたなか、商船三井久米島で1000キロワット級の新たな発電所の造成に乗り出した。研究所も協力し、25年ごろまでに稼働させる予定。養殖業向けの取水管を使うなど建設費用も工夫して抑え、コストを1キロワット時あたり20円程度にする。太陽光発電の倍近くとまだ割高だが、洋上風力よりは安い。経済利用に耐えられるレベルになると期待されている。研究所は、最終目標として1キロワット時あたり10円以下の実現を掲げる。

表層と深層の温度差が20℃以上となる地域でこの発電が可能だが、日本における導入ポテンシャルは、離岸距離30km以内では5,952MW(メガワット)、離岸距離制限なしでは、173,569MWと算定されている。沖縄では、離岸距離30km以内で2,797MW、離岸距離制限なしでは、70,992MWあり、沖縄全土の電力需要(約2,000MW)を賄うことができる規模になる。商船三井のプロジェクトの成果が楽しみではある。

100kW海洋温度差発電プラント

 

 

 

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