効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

太陽熱発電

何度かここで触れたが、世界的に太陽熱発電に注目が集まっている。太陽光を鏡で焦点に集めて高温を作りだし、高圧蒸気で汽力発電を行うものだ。砂漠地帯がもっとも適している。日本では高温を発生させられないので成立しない。
この発電プラント製造に川崎重工業が参入すると発表した。それによるとガスタービン発電設備と組み合わせるとあったので、あれっと思った。最初蒸気タービンの間違いではないかと考えたからだ。今夏から中東や北アフリカの電力会社などに売り込みを始めるそうだ。
新聞に出ていたシステムフローを眺めて、普通の太陽熱発電ではなく、天然ガスを使ったコンバインドサイクル(複合)発電に太陽熱発電をくっつけたものだということが分かった。天然ガスガスタービンを駆動して発電する。タービンからの排気ガスの温度はまだ高いから、それでボイラーを駆動して高圧蒸気を作り、汽力発電をする。これは日本の発電所でも行われているもので、発電効率は60%前後になる。この蒸気ボイラーから出る高圧蒸気の回路に、太陽熱の高温で発生させた高圧蒸気を合流させている。だから汽力発電の発電規模が太陽熱分だけ大きくなる。太陽が沈んで高温が発生しなくなっても、天然ガスがある限り、発電は継続できる。
問題は天然ガスがない所にはこのシステムが設置できないということだ。天然ガスをどこかからパイプで持ってくるとすれば、そのコストが上積みされる。太陽熱の利用に400℃になる油を熱媒体に使うとしているが、この油を断熱した貯油槽に入れれば、夜になっても発電できるはず。そのコストとの見合いになるだろう。もし天然ガス利用の複合発電規模が大きければ、太陽熱発電といえないことになる。太陽熱の利用エネルギーの方が、天然ガスの利用エネルギーより大きくなければ、羊頭狗肉になってしまう。どのように営業するのだろうか。