意図はまだ明確ではないが、ロシアがウクライナに軍隊を送り、ウクライナをロシア陣営に引き留めようとしている。西欧諸国はロシアから輸入した天然ガスへの依存度が高い。特にドイツは自国消費の3分の一をロシアからの輸入に頼っている。このような状況を考えると、ロシアにあまり強硬なことは言えないのではないかと思っていた。
だが、ロシアが天然ガスパイプラインを停止させても、欧州のガスが十分に供給できるだけのＬＮＧが米国その他のＬＮＧ生産国から送ることができると知り、それだけのＬＮＧ生産設備があって、しかも欧州を支援できる量を産み出す余裕の設備を持っているということだ。しかし、これは米国がロシアへの対抗策として実施しようとしているのだから、設備の規模を余裕があるように見せかけて、ロシアへの対抗策にしている可能性もある。日本もＬＮＧの生産規模を上げると報じられているが、国内にＬＮＧ生産設備を持ってはいないはずだから、米国などに保有するＬＮＧ生産設備の余力を稼働させて欧州を支援すると言うことなのかもしれない。
十分な量をＬＮＧを欧州に供給できると米国はいうが、それが円滑に進展するとは考えにくいから、ロシアの脅しはかなり具体的な重みのある戦略となる。もしロシアがウクライナを占拠する事態になれば、世界のＬＮＧ価格が急上昇するだろう。それを緩和できるだけのＬＮＧ生産設備を欧米側は本当に持っているのだろうか。
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