風船に入れる水素は爆発するのでヘリウムを使うという程度の知識しか持っていなかったが、そのヘリウムはガス田から副産物として採取されるらしいが、半導体の生産には不可欠なもののようだ。供給量が減り、日本への輸入価格が高騰しており、ディズニーリゾートで風船販売が休止されるなど消費者に身近なところで影響も出始めたと報じられている。
ヘリウムはガスや液体として冷却などの用途があり、半導体や光ファイバーの製造に欠かせないほか、医療現場の磁気共鳴画像装置（MRI）やデータセンターの記憶装置に使う。貿易統計によれば、2021年（1～10月）の平均輸入価格は1キログラム8148円。過去50年で最高値をつけていた昨年の価格を2%上回る。直近で安かった17年からの上昇率は4割近くに達する。日本に輸入されるヘリウムは液化して専用コンテナで海上輸送するが、流通の停滞が需給バランスを崩しているようだ。
ある国内ガス大手の担当者は「これまでは半導体生産が滞っていたため供給難が顕在化していなかったが、調達の状況は日に日に悪化している」と打ち明ける。足元は大口需要家である半導体産業への供給は優先しているというが、「最近半導体業界に対して供給調整を打診した同業もあると聞く」と指摘する。
風船から半導体までをカバーする基礎資源だが、ガス田を持つロシアの世界戦略の一つになる可能性もあるだろう。クリスマスの風船の需要期に消費産業に痛手となったのは直近の影響だが、半導体製造などへの影響を考えると、戦略物資の一つになりつつあるのかも知れない
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