効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

イスラエルと天然ガス

最近(2009年、2010年)イスラエルの沖合に巨大な天然ガス田が見つかり、これまでエネルギーの確保に頭を悩ませてきた同国にとって大きな恵みとなるということだ。最初の供給が5月から開始されている。このような現状は、少なくとも自分が見ている日本の報道ではまだ見かけていない。イスラエルが突如として中東のエネルギー供給国として登場するかもしれないのだ。いまこのガス田から陸上に向かって何本ものパイプラインが敷設されつつあるという。
だが、問題はガスをどこに輸出するかが第一の課題だとされている。アラブ諸国天然ガスを使った平和外交を進める意図があるイスラエルからの天然ガス輸入を、どれほど安い価格であっても受け入れない国が多いと想定されるからだ。もう一つの問題は、新たな政治紛争の原因にもなりかねないということだという。このガス田は自国領から伸びているものだと主張する国も出てくる可能性がある。テロによってパイプラインが切断されたり、ガス田施設が爆破されたりすることも考えられるという。最近イスラエルからの海底インターネット回線が危うく切断されそうになった事件も実際に起きている。エネルギーを巡って近隣諸国との対立が深まる可能性もある。これまでイスラエルはエジプトからパイプラインでガスを輸入していたが、テロによって分断され輸入は停まっている。これを修復して逆にエジプトに輸出することも想定できるが、その実現性に疑問を呈する向きも多いという。以前は友好関係にあったトルコへの輸出も考えられるが、現在政治的な対立が厳しいために実現は当面難しい。ともかくイスラエルの存在自体が中東諸国の間で否定されかねない状況にある現在、天然ガス輸出がどのように同国の経済発展に貢献するか見通しが立たないのだという。アジアへの輸出は可能だろうか。地理的にも政治的にも環境は整っていないと思う。