梶山弘志経済産業相は19日、オーストリアのウィーンで国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長と会談したということだ。東京電力福島第1原子力発電所の敷地内にたまる処理水の処分を巡り、9月にIAEAが海洋放出の安全性などの検証を始めることで合意した。政府はIAEAのお墨付きを得て海外に安全性を強調し風評被害の抑制を狙おうとしている。
日本政府とIAEAの原子力安全局幹部は9月に処理水の安全性に関する監視や検証について協議を始める。年内を予定する専門家集団の来日を前に、詳細な検証期間や手法などを詰める。新型コロナウイルスの流行で派遣人数が限られるため、オンライン会議も活用する。汚染水を専用装置で処理した後に放射性物質の量が基準値を確実に下回っているかを検証する。放出前に海水で希釈することで安全性を確保しているか等、政府が手掛ける海洋モニタリングの方法を確認する。海洋モニタリングでは放出する場所の近くなどで採取した海水について、政府とIAEAがそれぞれ評価して結果が一致するかどうかも確かめる方針だ。
いずれはこの方向に向かうことははっきりしていたが、これほど速く具体化するとは思っていなかった。これが福島県産物にさらなる風評被害を与えることは確かだが、避けられない道に一歩踏み出したことになる。IAEAは政府と東電の計画を詳しく分析し、検証結果を世界に発信するとしているが、それが日本政府の意向、裏返せば東京電力の期待を反映したものになるだろうか。IAEAは技術的な分析だけに徹しようとするだろうし、日本側は処理水を十分に薄めて出せば、全く問題はないという結論を出してほしいだろう。事故から10年たった今も韓国や台湾、中国など10以上の国・地域が輸入規制を続けるのが終わる方向に向かうのは期待できないだろう。
東電は近く処理水の具体的な放出計画を原子力規制委員会に申請する見通しだと報じられているが、いずれは処理しなければならないものであるだけに、日本からの強い要望に押されてIAEAが政治的な結論として「安全宣言」をする方向に向かう可能性もある。
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