米国のバイデン大統領は、地球温暖化ガスの排出を大きく抑制するために巨額の予算を設定している。しかし、この予算をもってしても、再エネの導入にはかなりの年数が必要となる。米国でも、太陽光は南部で均一にあるが、風力発電に適した地域は偏在する。しかも、電力の需要地は再エネの豊富な地域とは一致していないから、長距離の送電線を設置しなくてはならない。それには、設置する地域住民の同意を得る必要があり、これまでにも、多くの計画が頓挫している。その状況から見ると、一応の導電容量を確保するのに10年以上はかかるだろう。しかも、米国の送電網の中には老朽化している所も多く、その取り替えも含めると、必要な年数とコストは、米国の気候変動対応の目標達成をほぼ不可能にさせる可能性がある。
日本についても同じことが言える。今日報じられているが、電力広域的運営推進機関(広域機関)の有識者会合は28日、電力系統の長期整備方針(マスタープラン)に関する議論の中間整理を行った。再生可能エネルギーの導入状況などに応じて4つのシナリオで分析。連系線増強案は洋上風力などの立地を考慮した北海道~東京間のルート新設や九州~中国間の増強などを含み、コストは総額1兆5千億~4兆8千億円と試算した。マスタープランの最終版は2022年度中の策定を目指すとのことだ。マスタープランが具体化してから地元との折衝が始まるのだが、順調に進むとは考えにくい。
両国の対応策の一つとして考えられるのが、高圧直流幹線を設置することだ。直流は電磁波を出さないし、送電ロスも少なく、一つの開栓に必要な送電線の数も少ない。特に洋上風力発電の場合、海底設置となるから、殆ど全てで高圧直流送電が計画されるはずだ。米国の場合には陸上を走る高圧となるが、これも長距離送電となることから高圧直流が選択されるだろう。そして、景観の問題はあるが、電磁波を怖れる住民に対してはその心配がないことが、対応の難しさを軽減してくれるだろう。
温暖化ガス削減削減目標の達成には、送電線の新設が避けられない。どれほど迅速に計画を具体化できるかによって、目標達成ができるかどうかが決まるだろう。s
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