効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■再生エネ普及へ地域間送電網を複線化

地域間送電線の強化については、このブログで何回も書いてきた。やっと政策課題として登場したか、という感じだ。発表記事を見ると、現状を述べてその改善に向けた一般論が述べられているだけだが、一般の読者向けだから仕方がないだろうが、誰か専門家の視点を紹介してほしかった。

再生可能エネルギー拡大の妨げとなっている送電網の弱さを解消するため、政府は送電網を複線化して増強する。電力会社と来年春までに計画を策定して具体的な場所や規模を詰める方針で、東北や九州などが候補になるとしている。この日経新聞の記事には大手電力会社間の接続容量が出ている。これを見て、関西と四国の間の連系線が140万キロワット、四国と中国の間で120万キロワットであることを知ったが、前者は紀伊水道直流連系線だけだということに興味を持った。というのは、四国に増えている太陽光発電について、出力抑制をせざるを得なくなっているのは、容量の優先確保の問題もあるのかも知れないが、この部分は問題として上げるべきだったと思う。四国は太平洋に面しているために、これから洋上風力発電の設置が増えると予測されるからだ。

東北・新潟と首都圏の接続容量が小さいとあるが、ここに新たな高圧線を引くとすると、全部陸上になるために、地域の反対も多いだろう。高圧直流海底電線で柏崎刈羽原発基地と関西電力の美浜・大飯原発基地を結べば、停止した原発が使っていた送電容量が空いているのを利用して、関西圏に洋上風力発電の電力を送ることができる。洋上風力については、ほぼ確実に直流で結ばれるはずだから、それの延長と考えれば、地域との対応の難しさもレベルが低いはずだ。

記事には、国内でこれまで送電網の整備が遅れてきた背景には大手電力の消極的な姿勢があった。連系線を拡充すれば地域を越えた販売が容易になり競争が激しくなる。地域独占が続いていた各社は増強に後ろ向きだった。とあるが、これは今でもある問題だから、政府による制度設計も重要課題となるはず。

菅首相の温暖化ガス排出を2050年に実質ゼロにするという政策目標が、この計画を生み出したのだが、最初の具体的計画が生まれたことは良かった。続いて、再エネだけでなく、エネルギー消費の効率化などの課題にも取り組んでほしい。

 

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地域間系統接続図表(日経)

 

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