日本製紙は世界的に需給が逼迫するレアメタルを使わない高性能電池の開発に乗り出すと報じられている。木質材料を使い、容量は現在主流のリチウムイオン電池の約2.5倍となる。まず再生可能エネルギー向け蓄電池としての利用を目指し、将来は電気自動車(EV)での採用も狙う。実用化すれば脱炭素に欠かせない高性能電池の安定生産につながると紹介されている。
電池にレアメタルを使うのは必然だと思っていたが、そうではなかったようだ。EVが採用するリチウムイオン電池や太陽光発電所に使う蓄電池はコバルトやリチウムなどのレアメタルや鉛などを使う。レアメタルは埋蔵地や生産地が限られているうえに需要が急増しており、2021年2月にコバルト価格は約2年1カ月ぶりの高値を付けた。
日本製紙は木の繊維をナノ(ナノは10億分の1)メートル単位にまでほぐした「セルロースナノファイバー(CNF)」を使い、東北大学と共同で開発する。同大の福原幹夫リサーチフェローが、CNF表面にあるナノ単位の凹凸部が電子を吸着することを発見した。CNFを使った電池は世界で初めて。CNFを積層することで蓄電効果が出ると説明されているが、もしこれが、従来の電池と大きくは変わらない性能を示すとすれば、レアメタルを産出しない日本にとって、大きな朗報となる。
同社の説明では、蓄電性能を示す重量エネルギー密度は、リチウムイオン電池の約2.5倍となる1キログラムあたり500ワット時を目指している。25年にも提案営業を始めるという。当初は太陽光発電パネルの裏に設置できる横1メートル、幅1.6メートル、厚さ1.3ミリメートルの蓄電体(3.2キログラム)を開発する。蓄電部分には人体に有害な鉛やカドミウム、水銀、硫黄を使わず、廃棄処分も容易になる。電極にはアルミニウムの使用を想定している。新たな蓄電池は固体と気体の電気二重層という物理現象を応用し、従来の電池より素早く充放電できるということだが、これは製品化した段階でしか分からないことだ。
いずれにしろ、レアメタルを使わない蓄電池が従来の電池と同様の性能を示すとすれば、ノーベル賞が貰えるくらいのものではないだろうか。
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