環境省は3月29日、2019年度「家庭部門のCO2排出実態統計調査」の結果(確報値)を取りまとめ公表した。電気のCO2排出係数の改善や省エネの進展などを背景に、世帯当たりの年間CO2排出量は2.72t‐CO2と、前年度比6.2%減少した。
この調査は、各世帯の世帯構成、住宅の建て方、電気・ガス等のエネルギー消費量や家電製品別の使用状況等、延べ496項目にわたって調査したもの。従来の調査・統計では、家庭におけるCO2排出量やエネルギー消費量とその説明要因(居住人数や住宅の建て方、保有する機器等)が別々に把握されていた。この調査により、家庭からのCO2排出量やエネルギー消費量の把握に加え、世帯のCO2排出量やエネルギー消費量とその説明要因や冷房・暖房の設定温度、省エネ行動の実施状況等を一体的に把握することで、家庭におけるCO2の排出実態を精緻に把握することが可能になるという。
2019年度の世帯当たりの年間CO2排出(電気、ガス、灯油の合計)は2.72t‐CO2となった。このうち、電気の使用によるCO2排出量がエネルギー種別で最大の66.2%を占めている。この比率を下げるには、発電用燃料を再エネかバイオ系のものの比率を上げなければ達成できない。それには日本の場合まだかなりの時間がかかるだろう。米国カリフォルニア州の場合、建物からの炭酸ガス排出量を減らすために、オール電化を推進している。再エネ比率の上昇が早いのがその要因だろう。前にも紹介したと思うが、新設建物にガス管の接続を禁止する自治体が急増しているというから、オール電化政策はこれから本格化するだろう。日本はどのように対応するだろうか。日本の再エネコストは高いから、米国のような施策はとりにくい。エネルギー機器の効率化の推進が軸となる施策になるのだと思う。
一方、気象庁は3月29日、2020年の日本付近における二酸化炭素の観測結果を公表したが、日本付近の大気中の二酸化炭素濃度は年々増加を続けており、2020年も陸上、洋上、上空の観測すべてにおいて観測史上最高を更新したとしている。
この矛盾をどう解釈すべきだろうか。
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