効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■低コストでゼロエミッション達成には送電系統強化が鍵

米国のMIT(マサチューセッツ工科大学)が、シミュレーションを行って研究した結果、再生可能エネルギーを大幅にしかもコストを掛けずに導入し、米国がネットゼロ社会を実現するには、国全体にまたがる送電系統を拡充することだと結論づけている。地域で再エネ設備を大幅に拡充した場合、それを地域内で消費できるほど十分な規模の送電容量がなく、大規模な蓄電池を設置すれば、コストが大きく上昇する。それに比べて、その地域から他の地域へ余剰電力を移動させるように国の東西南北を結ぶ送電網を2倍近く強化する方が、コストは大幅に小さくなるというものだ。

これには、米国という広大な国土という側面を見る必要があるだろう。米国の送電系統は東、西、そしてテキサス州の三つに区分され、その区間で大量の電力を移動させることができない構造になっている。ところが、風がよく吹くのは西部だし、太陽のエネルギーが多いところは東部に多い。また、時間帯が4つに分かれていて、太陽の移動に応じた社会活動は、東から西に順次移動し、それに伴って電力需要も東から西に移動する。その移動に伴う電力需要の変化に即して電力を東西南北に移動できるようにすれば、大規模な蓄電装置を設置する必要度も小さくなる。

これまでにも同様な研究がここ10年ほどの間になされ、同じような結論が出されてきたのだが、ゼロエミッションを実現させる必要性が社会に受け入れられようとしている現在、MITの出した結論は大きな意味があると言える。そして、この送電系統の強化は、大部分が高圧直流送電が中心になるだろう。交流であれば4本の送電線が必要なのに対し、直流であれば2本~3本で済むし、長距離送電時の損失も大幅に少ない。このような高圧直流送電は、中国の三峡ダム発電所から1,000km近く離れた東岸の上海や広東に実用化されている。

このMITの結論は、日本についても言えるはずで、変動性の再エネには必ず大規模蓄電設備が必要だという間違った解釈がなされているのを修正する必要があることを示唆しているのだと思う。

だが、MITも述べているように、このような送電系統強化が政治的に受け入れられるかどうかが大きな課題として残ることは確かだろう。日本についても同じことだ。そのためには、慈雨コストの数字を各地域に示すことで納得して貰う以外にないのだろう。

 

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