効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■日本縦断のHVDC

今日Facebookに書き込んだのは次のようなこと。

「政府が北海道ー東北、東北ー東京の間の連系線増強計画を発表したことで思ったのだが、さらに長期の構想として、高圧直流幹線を北海道から九州まで設置できないだろうか。そして、その設置は、地域の制約なしに物流が動いているJRと高速道路に沿って地下埋設する。昔は、高圧直流送電は2点間しか出来なかったが、今は分岐ができて出入り自由だ。JRの人に尋ねたら、国の計画であれば可能だという。JRも高速道路も事業主体がもともと一つだから、意思決定はやりやすいし、沿線の住民や行政の反対も鉄塔設置ほど大きくはならないだろう。旧電力会社の事業区域にとらわれない電力の流通を考える必要があるのではないだろうか。」

高圧直流送電はHVDCと略称されるが、送電電圧は200kV~500kV。HVDCは以前からある「他励式」と、1990年代に実用化したコストの安い「自励式」の2つのタイプがある。2015年度では他励式が上回っているが、自励式が大きく伸びて逆転し、2030年度は自励式が約7割を占めると予測されているというレポートがある。他励式には外部から交流の供給が必要だが、自励式は外部電源を必要としないため、ブラックアウトが起きて周辺が停電しても作動する。北海道でのブラックアウトの時、他励式の北本直流連系線が停止して使えなかった。

交流送電に対するHVDCのメリットは、電力のロス率が交流の6%程度に対し、HVDCは1000キロ送電しても3%程度と少ないことと、長距離ではコストが安くなること。どちらも送電の距離が長くなればなるほど効果的で、「HVDCは長距離送電に向く」ことから、中国では辺境にある大規模な水力発電風力発電から、沿岸近くの都市部まで長大なHVDCを10本ほど敷設している。海底での設置でも交流より損失が少ない。交流には水との間にコンデンサー効果が生まれてインピーダンスによる損失が空中線より大きくなるが、直流にはそれがないからだ。高圧交流のように高調波も発生しないし、送電線も2本で済む。

そろそろコスト効果を検討しても良い時期に入っているように思える。