先日(7月15日)にも書いたが、洋上風力発電を日本で本格的に普及させるためには、高圧直流送電(HVDC)の設置が必要なのだが、その基本技術の開発に向けて日本がやっと動き始めたようだ。それを知ったのは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の7月14日の発表。複数の洋上ウインドファームと陸上の電力系統や島嶼の需要地を多端子直流送電線で接続し、長距離送電や地域間連系を実現するシステムの開発に向け、公募で提案のあった3件について審査を行い、実施予定先を決定したとという報道だった。
事業期間は、2020年度~2023年度。
採択事業者は、
○多用途多端子直流送電システムの開発について
東京電力ホールディングス、東京電力パワーグリッド、三菱電機、東芝エネルギーシステムズ、日立製作所
○多端子直流送電用保護装置の開発が
○直流深海ケーブルの開発
事業概要によると、
本事業では風力の直流送電線を多端子化して適切に保護制御・潮流制御を行うことで、信頼性が高く効率的な風力送電を可能とする高圧直流(HVDC)技術を開発する。また、これらの直流送電線を地域間への電力供給などの用途に利用できる制御技術を開発し、風力の導入普及のみならず、地域の需給バランス維持、再エネ抑制の回避、レジリエンスの強化などに貢献するための技術要件をまとめる。
併せて、世界中で進展している直流送配電技術について、国内外の技術や政策の動向を踏まえて、速やかに実用化を実現するための課題の整理及び抽出を行う。
ということだ。
HVDCの初期技術として、2個所を結ぶものが開発されたが、最近欧米で洋上風力発電が多数設置されるようになって、一本のHVDCへ幾つもの直流電源を接続して送電する技術が開発された。これを利用できるようになって、風力発電の一本一本から陸上に送電するのではなく、大規模なウインドファームからの電力を一定電圧の直流に変換して、一つに取りまとめて送電できる。陸上で使われているのは高圧交流送電だから、交流にして接続するには、交流の位相を合わせる必要があり、かつ、接続部の送電系統にも受け入れるだけの容量の余裕がなければならない。
今回のプロジェクトは、HVDCを需要地まで直接送ることも想定しているようだ。長距離になるほど送電ロスが交流に比べて少なくなるから、再エネを有効に利用し、日本のCO2排出量削減に大きく貢献することができる。蓄電池の利用もやりやすいはず。ここで得られた成果をできるだけ早く実施してほしいものだ。
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