効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■炭素繊維

航空機メーカー、ボーイングが、中大型航空機の製造を半減させると発表したのがこの4月。787の生産ペースを従来の月間14機から2021年に6機まで落とす計画で、機体を軽く、しかも強固に出来る炭素繊維複合樹脂を納入している東レにとっては存亡の危機に立たされた。その原因が新型コロナウイルスパンデミックで、世界の航空旅客数が激減し、大手の航空事業の中には倒産するところもあるという航空業界の苦境にある。だが、苦境に立たされている東レ炭素繊維複合材事業が、ここに来て粘りを見せているという報道があった。同事業の売上高の半分近くを占める航空機向け需要が大きく落ち込む一方で、風力発電向けの需要は堅調さを維持しているからのようだ。

軽量で剛性に優れる炭素繊維は日本企業の地道な研究開発のたまもの。東レ帝人三菱ケミカルの3社で世界シェアは優に5割を超える。中でも、その半分を占める東レはこの分野の最大手。航空機用途の不調が影を落とす一方、風力発電用途は予想以上の好調ぶりで業績を下支えしているようだ。20年4~6月期決算で炭素繊維複合材事業の売上高は、前年同期比26.2%減の454億円、事業利益は73.4%減の17億円。炭素繊維のうち航空宇宙関連の売上高が40%減少し、炭素繊維複合材事業が大幅な減収減益となりながらも、黒字を確保できたのは風力発電用途が堅調だったおかげだとの記事が出ている。風力発電所は洋上での開発計画が各国で相次ぎ、発電能力は28年にかけて年8%程度成長すると見込まれている。東レも風車のブレードに使われる炭素繊維の需要は22年、19年比で約4割増えると見ている。

風力発電用途の他に、燃料電池車(FCV)向けにも炭素繊維を増産する。2020年度中に日米の工場でFCV向けの合計生産量を19年度比で5割増やすとのこと。増産するのはFCVに搭載する水素タンク向けの炭素繊維愛媛県や米国の工場で航空機向けの生産ラインを活用し、より強度や軽量性が求められる水素タンクの専用ラインに切り替える。また、「空飛ぶ車」向けも注力するということだ。FCVの市場がどこまで伸びるかが課題だが、移動体の車体構造への利用は増加するだろう。移動体の重量はエネルギー効率へもろに影響する。長期的にはその利用拡大が強く望まれるだけに、炭素繊維産業はさらに新しい商品開発に成功してほしい。

 

 

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